今日も晴れ。
いつの日かまほろば大和へ行きたしと思へど空より参ることなし
一度だけ大和を訪れる機会あれば飛鳥か山之辺の道、あるいは法隆寺
法隆寺の百済観音を仰ぎ見る小学生のわれ、亡失の時間
『孟子』縢文公章句上49-4 畢戦をして井地を問はしむ。孟子曰く、「子の君将に仁政を行はんとし、選択して子を使む。子必ず之を勉めよ。夫れ仁政は必ず経界自り始む。経界正しからざれば、井地均しからず、穀禄平らかならず。是の故に暴君汙吏は必ず経界を慢にす。経界既に正しければ、田を分ち禄を制すること、坐して定む可きなり。夫れ縢は壌地褊小なれども、将君子為り、将野人為り。君子無くんば野人治むる莫く、野人無くんば君子を養ふ莫し。請ふ、野は九が一にして助し、国中は什が一にして自ら賦せしめんことを。
仁政はまず土地の境界を定めるべしそして税率を決めること
藤島秀憲『山崎方代の百首』
破れたる障子の穴をふさぎたる目玉が大きく迫って来る 『右左口』
いったん『右左口』に戻る。見学に来た人の中には障子の穴から覗く人もいたようだ。もちろん演出が加えられているわけだが、まったくのフィクションということもないだろう。
方代は部屋の中に居て、障子の穴をアップで捉える。するとそこには目玉。想像以上に何もない暮らしぶりに驚き、目を見開き、凝視する様子が「目玉が大きく迫って」と表現される。
方代の場面構成とカメラワークは斬新だ。絵を描かせたら、映画を撮らせたら、独自の世界を作り出していたことだろう。
還暦の祝いの酒を買って来てひとりぽつんとかたむけており 『こおろぎ』
再び『こおろぎ』より。四句と結句がすべて平仮名表記。平仮名で表記されていると読むスピードが自然遅くなる。反対に漢字が多いとスピードは速まる。この歌の初句から三句にかけては漢字が多い。だから、初めのうちは勢い込んで読み、後の方はポツリポツリと読む。
そのスピードが歌の内容に合っている。酒を買って来るのは大急ぎ。飲むのは味わいながらゆっくりと。時間の過ごし方を文字表現で表す絶妙なテクニックだ。
この歌を発表したのは昭和五十一年。六十二歳になっている。一首の完成までに時間をかけたのだろう。