11月28日(金)

今日も晴れ。

  いつの日かまほろば大和へ行きたしと思へど空より参ることなし

  一度だけ大和を訪れる機会あれば飛鳥か山之辺の道、あるいは法隆寺

  法隆寺の百済観音を仰ぎ見る小学生のわれ、亡失の時間

『孟子』縢文公章句上49-4 畢戦(ひつせん)をして井地(せいち)を問はしむ。孟子曰く、「子の君将に仁政を行はんとし、選択して子を使(せし)む。子必ず之を勉めよ。夫れ仁政は必ず経界自り始む。経界正しからざれば、井地均しからず、(こく)(ろく)平らかならず。是の故に暴君汙吏(をり)は必ず経界を(まん)にす。経界既に正しければ、田を分ち禄を制すること、坐して定む可きなり。夫れ縢は壌地褊(じやうちへん)(せう)なれども、(はた)君子(た)り、将野人為り。君子無くんば野人治むる莫く、野人無くんば君子を養ふ莫し。請ふ、野は九が一にして助し、国中(くにちゆう)(じふ)が一にして自ら賦せしめんことを。

  仁政はまず土地の境界を定めるべしそして税率を決めること

藤島秀憲『山崎方代の百首』

破れたる障子の穴をふさぎたる目玉が大きく迫って来る 『右左口』

いったん『右左口』に戻る。見学に来た人の中には障子の穴から覗く人もいたようだ。もちろん演出が加えられているわけだが、まったくのフィクションということもないだろう。

方代は部屋の中に居て、障子の穴をアップで捉える。するとそこには目玉。想像以上に何もない暮らしぶりに驚き、目を見開き、凝視する様子が「目玉が大きく迫って」と表現される。

方代の場面構成とカメラワークは斬新だ。絵を描かせたら、映画を撮らせたら、独自の世界を作り出していたことだろう。

還暦の祝いの酒を買って来てひとりぽつんとかたむけており 『こおろぎ』

再び『こおろぎ』より。四句と結句がすべて平仮名表記。平仮名で表記されていると読むスピードが自然遅くなる。反対に漢字が多いとスピードは速まる。この歌の初句から三句にかけては漢字が多い。だから、初めのうちは勢い込んで読み、後の方はポツリポツリと読む。

そのスピードが歌の内容に合っている。酒を買って来るのは大急ぎ。飲むのは味わいながらゆっくりと。時間の過ごし方を文字表現で表す絶妙なテクニックだ。

この歌を発表したのは昭和五十一年。六十二歳になっている。一首の完成までに時間をかけたのだろう。

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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