2025年3月12日(水)

今、十一度だというが、寒い。

今日は、奈良東大寺二月堂のお水取りだという。春になるのだ。宇野浩二「枯木のある風景」は、画家の島木新吉と古泉圭造の敬愛と離反の小説だが、奈良に写生に出かける島木が、このお水取りの日に、それをほとんど意識しないことを書き、妙におもしろいのだ。

  ベランダを雨に飛ばない黒鶺鴒可愛く跳ぬる尻尾を振りて

  鶺鴒がベランダを右に左に跳ぬるやう冷たき雨が(み)を濡らしても

  この寒さを飛びだすときもありしかな(おほぞら)へちょっと散歩してくる

『論語』季氏五 孔子曰く、「益者三楽、損者三楽。礼楽を節せんことを楽しみ、人の善を道ふことを楽しみ、賢友多きを楽しむは、益なり。驕楽を楽しみ、佚遊を楽しみ、宴楽を楽しむは、損なり。」

  孔子曰ふ益者三楽、損者三楽。人間はさう截然と割り切れるものか

『古事記歌謡』蓮田善明訳 八五 キナシノカルノ太子
また、
天飛(あまだ)む 軽嬢子          軽のおとめよ 人陰に
したたにも 寄り寝て通れ     隠れ忍んで行きなさい
軽嬢子ども            涙が人に知れぬ様に

  天飛む軽のをとめよ人陰に隠れ忍びて行きなさい涙を人に知られぬやうに

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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