春のおもむき。晴れている。
中庭の底を覗けば赤き花、椿の常緑の中にぽつぽつ
あけぼの杉はまだ冬木なりどことなく枝も頼りなくして
百日紅のひねくれた幹もさらされて春とは名ばかり冬の木ならむ
『論語』季氏七 孔子曰く、「君子に三戒あり。少き時は血気未だ定まらず、これを戒むることに色に在り。其の壮なるに及んでは血気方に剛なり、これを戒むること闘に在り。其の老いたるに及んでは血気既に衰ふ、これを戒むること得に在り。」
君子には三つの戒め。若きは女色壮年は争ひ老年は欲
『古事記歌謡』蓮田善明訳 八七 カルノ太子
また、
王を 島に放らば 王であるこのわれを 島に流さばこの船の
船余り い帰り来むぞ 帰りの時にまた乗って 都に帰ってきて見せる
わが畳ゆめ わが敷きなれた畳をば ゆめ汚したりせぬように
言をこそ 畳と言はめ 口こそ畳と言うけれど
わが妻はゆめ ゆめゆめ許さぬ わが妻も
この歌は「夷振の片下ろし」である。
王を島に流せばわが妻も畳のごとくゆめ許さざる