朝はやはり寒い、昼には十八度、春の陽気になるというが。
『文豪怪談傑作選 泉鏡花集|黒壁』(東雅夫選)をやっとこさで読み終えた。鏡花の小説の文章は、実にレトリカルで勉強になるし、声に出して読むのに最適だ。「高桟敷」「浅茅生」「幻往来」「紫障子」「尼ケ崎」「菊あわせ」「甲乙」「黒壁」「遺稿」「幼い日の記憶」の十編。どれもおもしろい、怖い。とりわけ蝮を殺す「尼ヶ崎」、あとはつぎつぎに出る「女怪幻想」が凄い。蝮の描写とか女性の怪を堪能してほしい。
春や来るにいまだ寒き日つづきたり庭の椿に花多に咲く
葉に隠れ一輪一輪咲きにけり赤き椿はものいふごとし
どことなく色艶感ず椿の花そろそろ春も近しと思ふ
『論語』季氏一四 邦君の妻、君これを称して夫人と曰ふ。夫人自ら称して小童と曰ふ。邦人これを称して君夫人と曰ふ。異邦に称して寡小君と曰ふ。異邦の人これを称して亦君夫人と曰ふ。
国君の妻は国君がよばれるときには夫人。夫人が自分でいうときには小童。その国の人が、国内でよぶときには君夫人。外国に向かっていうときには寡小君。外国の人がいうときにはやはり君夫人という。
呼び方の乱れを正す孔子なりたとへば邦の夫人の言ひ方
『古事記歌謡』蓮田善明訳 九四 オホハツセワカタケルノ命
また、
引田の 若栗栖原 そなたの在所の栗林 若木が多いというけれど
若くへに 率寝てましもの その若い日にそなたをば
老いにけるかも 婚したいものを 老いはてて
若き日に恋せしものを老いたれば婚したきものを老いはてたまふ