2026年1月1日(木)

元旦です。まあ、晴れてます。

  よくしたもので(よはい)七十にならむとす今年こそよき年にてあれよ

と、もう一首。

  去年今年貫く棒のごときものあればこそ今年よき年であれ

譫言

  (うは)(ごと)に申すか石の神ありて祟りをなせり、しかし敬すと

  宿神は翁の神か。後ろ戸に隠りし三人(みたり)、をどりあそぶ

『孟子』縢文公章句下61 匡章曰く、「陳仲子は、豈誠の廉士ならずや。(を)(りよう)に居り、三日(くら)はず。耳聞ゆる無く、目見ゆる無きなり。井上(せいじよう)に李有り。(すくもむし)、実を食ふ者半ばに過ぎたり。匍匐して往き、(と)りて之を食ふ。三咽(さんえん)して、然る後に耳聞ゆる有り。目見ゆる有り」と。孟子曰く、「斉国の士に於て、吾必ず仲子(ちゆうし)を以て巨擘(きよはく)と為さん。然りと雖も、仲子悪んぞ能く廉ならん。仲子の操を充てば、則ち(いん)にして後可なる者なり。夫れ蚓は、(かみ)槁壌(かうじやう)を食ひ、(しも)黄泉(くわうせん)を飲む。仲子居る所の室は、伯夷築ける所か、抑々(そもそも)盗跖(たうせき)の築ける所か。食ふ所の(ぞく)は、伯夷の樹ゑし所か、(そもそも)亦盗跖の樹ゑし所か、是れ未だ知る可からざるなり」と。

川本千栄『土屋文明の百首』

小工場に酸素溶接のひらめき立ち砂町四十町夜ならむとす 『山谷集』

<小工場に金属を酸素溶接する青白い光がひらめき立ち、砂町四十町は夜になろうとしている。>

前歌と同じ「城東区」より。新しく大東京市に加わったこの区の砂町四十町と呼ばれた地域は、荒川放水路が東京湾に注ぐ近くで、中小工場の密集する地帯だった。近代的な工場地帯の風景は定型に収まり切らず、結句以外は全て字余りとなっている。「酸素溶接の(炎の光が)ひらめき立ち」と省略しても、夕暮れの町工場に間断無く火花が散る様子を活写する。無機質な工場群を乾いた筆致で描く手法は、短歌の新しい面を切り拓いた。

軍艦は出でたるあとの軍港に春の潮みちくらげ多く浮く 『山谷集』

<軍艦が出港した後の軍港には春の潮が満ち、くらげが多く浮いている。>

昭和八年「横須賀」より。横須賀港の軍艦三笠と、造船業で活気づく港の様子を描く。この時期「満州国」の建国を巡って日本は国際的に孤立していき、国は軍備の拡張急いでいた。軍港に立ち、戦争への複雑な思いを歌った連作だが、この歌は、「軍艦は」と「は」では巨艦が去った後の空間を描き、その海に満ちる春の潮と、透き通るくらげが揺れる様子を描く。軍需工場の風景ながら、柔かい雰囲気の歌となっている。

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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