1月15日(木)

快晴。しかし朝は寒い。 糸塚   散々に甚振(いたぶ)られ倒され無惨なる碑を雁字搦めに緊縛したり   芬(ふん)と薫った石の肌。おもはず「あ」と声立ててゐる   担ぎだすために直肌ではまずからう藁・筵くくり下へとおろす ...

1月14日(水)

今日も晴れ。稲取への旅も昨日終えた。一泊二日。ああ、惜しまれる。   盂蘭盆の夜が更け初路の墓の前あはれ陰々と鬼気迫るもの   わあ、わっ、わっ、おう、ふうと四人の男とすれ違ふ   「出ただええ、幽霊だあ」「おッさん、蛇...

1月13日(火)

夕べから風が強い。(いなとり荘)   切(きり)立(たて)といふまでもないが巌の径(みち)嶮しく上がれば櫐々と墓   巌を縫って蟠(わだかま)る根に寄りきたる先祖代々の墓にお京を拝む   お京の墓と相向ひやや斜め下、左に...

1月12日(月)

晴れましたね~伊豆稲取へ。   いぢめとは工場の誰彼を憎むともやるせなきものはかなきものを  *   上下、左右さわさわさわと音立てて数千数万の赤蜻蛉飛ぶ   とんぼ二つは比翼のすがた初路の霊しづまらず。糸塚建てむ 『孟...

1月11日(日)

朝は寒いし曇っている。晴れるらしいが。 絲山秋子『細長い場所』を読む。最初は分からなかったが、細長い場所は、この世とあの世の境界に当るらしい。登場人物のいづれもが透明で、平ったく中有に迷っている死者のごときだ。だから面白...

1月10日(土)

今日も晴れ。   身投げせる別嬪さんはいぢめられ死にしといふも同じ日なりき   見た処三百ばかりの墓また墓。燈籠のもとには九十九の精霊   年月が余りに遠く隔たれば秋の菊日和も夢も朧 『孟子』離婁章句上67 孟子曰く、「...

1月9日(金)

朝は寒いが、晴れる。けど寒い。   はんけちの工場につとめる娘さんうららかな朝はかなくなりぬ   家は焼け、お京の胎(はら)のお米には痣(あざ)ありいまも薄(うつす)り青し   心中ではないが遠くなり近くそのなる人がまと...