35℃になるそうだ。暑い。
汽鑵車が真夏の森を抜けてくるみどりの色に染まり出てくる
カーブするときに警笛ひびかせてみどり穂をなす草原抜ける
汽鑵車の音立てて来る平原に窓から落とす毒薬の瓶
『孟子』梁惠王章句上7-12 是の故に明君民の産を制するに、必ず仰いで父母にふるに足り、俯しては以て妻子を畜ふに足り、には終身飽き、凶年には死亡を免れしむ。然る後駆りて善に之かしむ。故に民の之に従ふや軽し。今や民の産を制して、仰いでは以て父母に事ふるに足らず、俯しては以て妻子を畜ふに足らず、楽歳には終身苦しみ、凶年には死亡を免れず。此れ惟死を救ひて而もらざるを恐る。ぞ礼儀を治むるにあらんや。王之を行はんと欲せば、則ちぞ其の本に反らざる。
王これを行なはんと欲すればなどて根本にたちかへらざる
前川佐美雄『秀歌十二月』十一月 磐姫皇后
ありつつも君をば待つ待たむ打ち靡くわが黒髪に霜の置くまでに (同・八七)
三番目の歌である。「ありつつも」はこうしていつまでも。「打ち靡く」は黒髪の形容で、その長くふさふさしているさま。「黒髪に霜の置く」は「白髪が生える」というのと、「外で夜をふかして実際に髪に霜が降る」というのと二つの解釈があるが、後者の解に従う人の方が多いようだが、それは「ある本の歌に曰く」として
居明して君をば待たむぬばたまのわが黒髪に霜は降れども (同八九)
があるものだから、これに引きずられているようだ。「居明して」はたしかに戸外に夜をふかしている状態が感じられ、また「ぬばたまの」などの枕詞もそれをいうに似つかわしいが、これはやはり天皇の心が自分に帰ってくることをいつまででも待とうというおもぬきの歌として受けとるべきである。(略)これは皇后の歌ではないか。嫉妬もさることながら愛情も火のように激しい皇后だった。そのことを思わなければならない。