9月24日(水)

涼しい日だ。27℃くらいに収まる。

  西に向き欅樹透し太陽にまむかふときぞわれのみにして

  太陽と吾がむかいあふ。まぶしさに負けてはならず欅越しにて

  いくつかの吸殻、砂場に落ちてゐる昨夜ここに謀反の企て

『孟子』公孫丑章句24-2 曰く、「管仲は其の君を以て覇たらしめ、晏子は其の君を以て顕れしむ。管仲・晏子は猶ほ為すに足らざるか」と。曰く、「斉を以て王たるは、由ほ手を反すがごときなり」と。曰く、「のくんば、則ち弟子の惑ひ甚だし。

且つ文王の徳、百年にしして後崩ずるを以てしてすら、猶ほ未だ天下にねからず。文王 周公之に継ぎ、然る後大いに行はる。今、王たるを言ふこと然し易きが若し。則ち文王はるに足らざるか」と。

  孟子曰く、公孫丑よ今こそ王たること易し文王は法るに足らず

林和清『塚本邦雄の百首』
土曜日の父よ枇杷食ひハルーン・アラ・ラシッドのその濡るる口髭 (『緑色研究』)

塚本は果物が好きで名エッセイ集『味覺歳時記』(一九八四)には、果物にまつわる記憶や逸話がドラマ仕立てにつづられている。枇杷は出てこないが、歌のモチーフにはたびたび登場するので、好んでいたのだと思われる。

ハルーン・アル・ラシッドは『千夜一夜物語』に称えられる理想の王。こんな父を欲したと『綠珠玲瓏館』にある。「七歳の夏、掌も膝も濡らして枇杷を食ひながら、非在の父にあこがれた。そしてあるいは、私は一生父の出現を待ち續ける。」美学を超えて時おり顕現する真情に触れ、涙腺が決壊してしまうこともある。

ラ・マルセイエーズ心の國歌とし燐寸の横つ腹のかすりきず (『緑色研究』)

いったいこの歌集にはどれほどの固有名詞が登場するのか。サンセバスチャン、オルフェ、ストラヴィンスキー、カヤーム、ヒトラー、カラス……。人名に限らずこの歌のように曲名もある。

国家『君が代』に関して塚本は忸怩たる思いがあるようだ。「藺を刈りて遺髪のごとく炎天に竝べをり 國歌なき日本」という歌もあった。フランス国歌のような革命歌に憧れるのだろう。さらにマッチには「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」への共鳴がある。「横つ腹」の促音が効果的。

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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