曇り空で、昨日ほど暖かくないが、木蘭が満開である。
停留所の看板の前に悄乎としてゐる老いを指さす子らが
なんとなくをかしき姿をしてゐるか子らの囁き耳に聞こゆ
自販機に買ひ求めたるペットボトル海豹のごとく貌あげて飲む
『論語』陽貨三 孔子曰く、「唯だ上知と下愚とは移らず。」
だれでも習いによって善くも悪くもなるものだが、ただとびきりの賢い者とどん尻の愚か者とは変らない。
ふむふむとは、思うものの、ここにも差別感覚があるような、ないような。
孔子が言ふただ上知の者と下知のものとはつひに変らろうとせず
『古事記歌謡』蓮田善明訳 九七 オホハツセワカタケノ命
天皇が、吉野の宮に行幸した時、吉野川のほとりで、少女に会った。美しい少女であったので、この少女をつれて還幸になった。その後また吉野に行幸のみぎり、その少女に会った所にとどまって、椅子を据えさせてそれに倚って、琴を弾いて、その少女に舞を所望した。少女は、よく舞うた。そこで、
呉床居の 神の御手もち 呉床にわが居て琴ひけば
弾く琴に 舞する女 立ち舞うおとめよ 永久にあれ
常世にもがも 花のおとめよ 永久にあれ
と、歌をよんだ。
大君の琴に合わせて舞ふをみなその舞こそは永久にありけれ