2023年9月5日(火)

病室は五階の端、窓側である。秋の田が見える。   かろやかに小雲(せううん)ひむがしへ流れゆくこの軽やかさ秋のものなり   穂の垂れて刈りしほ近しこの秋もたけてゆくなり黄金の田に   この日ごろ黄金の田に穂の重く刈りしほ...

2023年9月3日(日)

迢空忌。朝方は涼しいのだが、暑いのに変わりはない。   紙(し)垂(で)四枚垂らして神棚あでやかなり祈りささげむ地の霊たちに   石上(いそのかみ)ふる鈴振りて、いにしよをひらくがごとき鶏の鳴き声   地の霊など九月一日...

2023年9月2日(土)

暑い。問診のため海老名総合病院へ。明後日の入院の前段である。 昨夜、砂原浩太朗のデビュー作『いのちがけ 加賀百万石の礎』を読み終える。前田利家の股肱の臣、村上長瀬のまあ一代記といっていいだろう。利家歿後まで長瀬の活躍をえ...

2023年9月1日(金)

今日から9月。4日にはまた入院だ。暑さは変わらない。   西の空にスーパームーン残りをり満月大きくかがやく朝に   まみどりの樹のけさことにかがやきてスーパームーンことほぐごとし   朝烏けたたましくも鳴きはじめ二羽、三...

2023年8月31日(木)

暑い、暑いのだ。   けやきの葉のさやさや声。ささやきの聴こゆるときをわが歩みゆく   エアコンの室外機に夜の明滅が映るひかりの反射寂しき   咳止めに吸入せむか日に二回コロナの後を安らぐために   小豆バー冷たき氷菓頬...

2023年8月30日(水)

今日も暑い。リハビリが来るが、来週また入院だ   九階のベランダに来てゐる蜻蛉(とんぼう)のその名覚えず黄色の胴体   みんなみの夕焼け雲のあかね色かへるとうたふ烏(からす)をりにき   山の上に入道雲の湧きだせる夏の山...