2023年10月7日(土)
一畳ほどがわが住み暮らすベッドにてここより帰るべきところはあらず カーテンをひらけば稲穂稔りたる田んぼいく枚いまだも刈らず
一畳ほどがわが住み暮らすベッドにてここより帰るべきところはあらず カーテンをひらけば稲穂稔りたる田んぼいく枚いまだも刈らず
午前六時、空かんぺきに明けてくる昨夜の雨も上がりたるらし 秋の雲は動かざりけり背後には青空を控へ薄雲たゆたふ 雲うすく空にとどまる白きものかたち変へつつゆくへただよふ
入院5日目。雨だ。 雨ふればさがみの平ぬれてゐるこの平安も豊穣の地なり るり子、るり子と叫ぶ患者がむかひなり子どものやうなるしたしさがある 夜通し咳と魘さるる言葉とにまみれてわれも一夜眠れず
入院3日目。 秋の雲の絹のやうなる薄き雲ながれただよふさがみの空は さがみの平(たひら)、空ゆく雲を見つつをり田圃数枚刈塩りしほならむ いつまでも刈らぬ田ありき稔り穂の垂れて荒れたるこの田を刈らず
昨日から入院している。よく晴れて、窓から見渡す田も半分ほど刈り取られている。 この世には明け烏鳴くかしましくこの世を讃へ暁闇に鳴く 夜の虫のいまだも鳴ける暁闇の闇のむかふにひそむものあり たうとつにひとの名を...
今日午後入院である。暑い。 けさも鳴く明けのからすのやかましく目覚めたりけりまだ鳴くうちに 夜の虫のいまだも鳴ける暗闇にゴミを捨てにゆくこの世の涯に 皿、茶碗ふれあふときの音たのしキッチンは娘と妻がいさかふ
十月の始まりだ。しかし、今日も暑い。 ゑごの花すでに終はりてゑごの実のくろき実落ちて後の時ゆく 逡巡のあればここは何と言ふつばきの実落ちて久しきこの径 入院し退院すること幾度目かただくろぐろと日々がすぎゆく ...