曇りだけど、気温は高いし湿度も。
ベランダを九階の高さに右から左横切る野鳥猛スピードに
野良減りていづこにも行く処なしこの畔過ぐればただ坂の道
田の数のめっきり減りし町の中に物流倉庫の工事現場
ロジスティクスばかりなる郊外はインターの出入りに近きゆゑなり
『論語』子張二四 叔孫武叔、仲尼を毀る。子貢曰く、「以て為すこと無かれ。仲尼は毀るべからざるなり。他人の賢者は丘陵なり、猶ほ踰ゆべきなり。仲尼は日月なり、得て踰ゆること無し。人自ら絶たんと欲すと雖ども、其れ何ぞ日月を傷らんや。多に其の量を知らざるを見るなり。」
孔子のことを悪くし言はばただただに身のほど知らずをあらはすのみなり
前川佐美雄『秀歌十二月』 在原業平
月やあらぬ春や昔の春ならぬ我が身一つはもとの身にして (古今集)
今見ている月は昔のままの月ではないか。そうしてこの春も昔と同じ春ではないか。自然は少しも変わらないのに、自分だけはもとの身のままのようで、とあとをいいつくさずにその歎きを読むものの心にあずけている。(略)高調してくる感情を歌いあげていると自然にこうなるので、それがことばの魔術というのか、いいようのない妙味が生れてくるのである。
この歌には題詞がある。(略)「五条のきさいの宮の西の対に住みける人に、ほいにはあらで」云々と長い題詞を詠まなくても、これは女と別れた歎きを歌ったものであることぐらいだれにもわかる。