2021年9月23日(木)

秋分の日。今日は昼・夜の食事の買物ついでに散歩。11時、30℃越え。

  あけぼの杉の葉むら萎れてゆくやうな衰へ覚ゆ秋深くなる

  バナナの皮むけばバナナに傷がある傷そのままにバナナ頬張る

今日も田圃の中を歩いた。

   用水の柵を把捉(つか)みて立つ鷺のすがた孤高なり秋の日浴びて

2021年9月22日(水)

相変わらずあんまりいい夢を見ない。

  焼却台の上には骨灰とペースメーカーわがいのちの終焉(はて)寂しきものよ

  骨灰と電子機器かこむ家族らのささめく笑ひあればまあよし

図書館周辺の田んぼを歩く。

  黄金(こがね)()の垂り穂のうへを蜻蛉(あきつ)ゆく秋あかね、しほからやがて鷺くる

  夕映えは遠くに及ぶひむがしの雲いく片か薄き桃いろ

2021年9月20日(月)

26年前のこの日の未明、畏友鈴木正博が亡くなった。委細は12日の日録に書いたとおりだ。結婚式まであと一月だった。婚約者だった今泉重子さんも半年後の3月20日に自裁。

  暗夜のトイレの明りに照らされて(たふ)れし君の未練を思ふ

午前8時過ぎの爽やかな時間に三川公園まで往復、散歩をしてきた。

  相模川上空を飛ぶ鵜と白鷺風あれば大きく羽搏きてゆく

  濃みどりの葉々の上とぶ小灰(しじみ)(てふ)うすむらさきの小さき精霊

  精霊たちが声をひそめて会話する風音ささやく森にまぎれて

2021年9月19日(日)

台風一過のような爽やかな朝だった。昼くらいから夏のような青天がひろがる。妻の運転でトマト農園、地元のJAの野菜市場、生協などをめぐる。

  わが手なれど夜の孤独に組み合はす指組めばあるわづかの安心

  雲間より青空覗く(あした)なりほがらほがらにカラス声上ぐ

  市場には殺気立ちたる空気ありじやが芋、玉葱急ぎ手に取る

午後4時過ぎに彼岸の掃苔。墓山は暮れる前のまぶしい西日とすでに翳りはじめた山陰の暗さの対照が印象的であった。

  山陰はすでに冷気を帯びたるに西日まぼしき山の午後四時

  遠からずこの墓に入る老母の墓石を拭くその手小さし

2021年9月18日(土)

台風14号の影響で雨の一日。昨日はステージ4の悪性リンパ腫が発見されてから16年目であった。どうやら9月17日は鬼門の日であるようだ。

  十六年目の九月十七日ことしもまた病院へ行くエコーの検査

  台風十四号の余波ならむ豪雨予報ありすでに雨降る

この歌日録をはじめる頃から、小さな画帖に鉛筆画を書いて楽しんでいた。日々、日録の下にある絵がそれだが、最近は色鉛筆がになっていることにお気づきだろうか。下手くそなものですが、お楽しみいただければ幸いです。 なす、トマトを色鉛筆にゑがきたり野菜のいのちを写さむとして