2024年11月2日(土)

雨だ。暗い空。南方のロジテック群が雨で霞んでいる。

  午前四時に覚めて起きだしトイレへ向う老い耄れならむ

  青き蜜柑、剝けばすっぱい香のあふれ運動会のかけっこ思ふ

  わがメガネに寄り来る小さな虫がゐるあやまりて潰すその黒き虫

『論語』顔淵二四 曾子曰く、「君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く。」

  君子なれば文事によって友を得てその友をもち仁を輔くる

『春秋の花』 渡辺水巴
・別るるやいづこに住むも月の人 『続水巴句帳』(1929)
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・岩鼻やここにもひとり月の客 向井去来『去来抄』
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・硝子破れ月明がこわれて見ゆる 阿部完市『無帽』1958
・草木寝て月と遊べる冷川 鷲谷七菜子『花寂び』1977
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・手を打たばくづれん花や夜の門

  岩鼻の上には月の客がゐてひとつのものを見つめつつあり

2024年11月1日(金)

今日から11月だ。一年が早い。空は晴れているが、やがて雲が多くなり、雨が降るらしい。

  手の甲にも老班があるいつのまにか老いの極まるわれにあらずや

  陰毛にも白きと黒木が混じりをりああわが軀老いたるかなや

  夜に起きる回数ふえて年寄りと気づくわれには妻もおなじく

『論語』顔淵二三 子貢、友を問ふ。孔子曰く、「忠告して善を以てこれを道びく。不可なれば則ち止む。自ら辱めらるること無かれ。」

  本当の友なればいつか気づく。さにあらねば則ち縁をきるべし

『春秋の花』 久坂玄瑞
・竜田川、むりに渡れば、紅葉が散るし、渡らにゃ聞かれぬ、鹿のこゑ
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・むかし思へばアメリカの/独立したのもむしろ旗/ここらで血の雨ふらせずば/自由の土台が固まらぬ」 秩父事件にかかわる民謡。
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・やや遠きものに思ひし/テロリストの悲しき心も――近づく日のあり。 啄木

「支配権力側の理不尽が、しばしばそのような境地に、被支配者側の自覚的な単数ないし複数の精神を、追い詰めるのである。(深く肯う。)

  たひらかなる世を望みたるわれなれど時にテロルを思ふことあり