2023年11月16日(木)

明瞭な朝。東の空が朱茜色に明けてくるが、寒い。この寒さに、初のエアコンを使う。

  ひむがしの空低きところ茜色に彩られさねさし朝の濫觴

  老いの性せむなきものに悩まされ深夜いく度も目覚めたりけむ

一昨日、国立がんセンターにてペット・CTを撮る。

  ペット画像の(おのれ)のすがた醜くてこの世の外のものかとおもふ

『論語』四 曽子さんが云った「吾れ日に三たび吾が身を省る」のだそうだ。曽子は、孔子の門人。孔子より46歳も若い。

  論語読む倣ひはないがこの度はつぶさに一つひとつを読まん

『徒然草』195段、196段ともに久我通基のエピソード。内裏勤めを辞めてから、どうもおかしくなっていたようで「尋常(よのつね)におはしましける時は、神妙(しんべふ)に、やんごとなき人にておはしけり。」(195段)

  木造りの地蔵を洗ふ久我通基尋常(よのつね)にありけるときはまともなりしが

2023年11月15日(水)

昨日は疲れた。戻れば海老名は昏かった。

  卓上に置かれたメガネ一日を疲れし妻の眼鏡がひかる

  鶺鴒二羽愛らしきこゑにもつれ合ひ乱舞を見せる九階の空に

  もつと高く鳶がめぐれる海老名の空朝飯食ひつつ窓越しに見ゆ

『論語』三「子曰く、巧言令色、鮮なし仁。」わたしにとっては『論語』中もっとも著名なことばだ。ことば上手の顔よしでは、ほとんど無いものだ、仁というものは。ずっと肝に銘じていた。

  巧言令色鮮なし仁ときに応じて思ひつつ生く

『徒然草』194段 達人の明察。「明らかならん人の、惑へる我等を見んこと、掌の上の物を見んが如し。」

わが為すところ見通すことの容易なり達人のてのひらにわれら載せらる

2023年11月14日(火)

二度目の築地、国立がんセンター。行きは一人。良く行けたものだ。途中から妻が来る。なかなか大変だった。

  日比谷から築地へタクシーに急ぎゆく車窓に東京の街が流れる

  あひ変はらず院内は人あまたゐる地下へ降りれば患者寡なし

  からうじて空は青くて東京はうつくしき色に暮れなむとする

2023年11月13日(月)

朝は雨が残っていたが、後は晴れた。

  真夜中にペットボトルのお茶を喫むコップに注ぎてりんりんと飲む

  川筋を四羽の鷺が飛びゆける一羽、いちはが緑地をめざし

  いつのまにか晩秋の寒さ。小半日枯れ葉の小径かさがさ音す

青山文平『半席』読了。青山文平は、わたしの贔屓の作家である。単行本が出るたびに買っているが、これは文庫本だ。だから二度目ということになるが、二度目でも新鮮に読むことができる。まあ、忘れてしまったということでもあるが、二度読んでもおもしろいのだ。「半席」について、また内容については、ここでは長くなるので書かないでおく。

  青山文平『半席』を読む。(かち )目付(めつけ)片岡(かたおか)直人(なおと)懸命なりき

『論語』二 有子が言う。有子は、孔子の門人。孔子より43歳若い。容貌が孔子に似ていたという。「君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟なる者は其れ仁の本たるか。」
『徒然草』193段「おのれが境界にあらざるものをば、争ふべからず、是非すべからず。」

  おのれの専門領域にあらざるは争ふべからず是非してはならず

2023年11月12日(日)

朝は雨、やがて止むものの寒い。冷えている。そして空は雲で覆われている。

  うす暗き今日の朝なり日は出でず冷たき夜明け冬近みかも

  シルエット・ロマンスの大橋純子死すといふ訃報あり朝の新聞ひらく

  捕鯨船日新丸の引退を新聞に知る「編集手帳」に

『老子』が終ったので『論語』を。まあ真反対の書物だが、それもおもしろい。けっこう長いのでいつまでかかるか。

『論語』学而第一 有名過ぎる学而第一である。孔子先生曰くである。学びて時にこれを習ふが説ばしい。遠方より朋来たる、楽しい。そして人を(うら)みずが君子である。まあ、そうか。

  復習し、遠くから旧き友来たる。人にかまはず生きるべしや

『徒然草』191段 夜がいい。「よろづのものきら、飾り、色ふしも、夜のみこそめでたけれ。」

192段「神・仏にも、人まうでぬ日、夜参りたる、よし。」

  夜がうつくしい、神社にも寺にも夜に参るべし兼好云ひき

2023年11月11日(土)

寒い。このあいだまで夏日だった。この変化はなんだ。今日は1111、1の4つならびの日であ
である。

  『老子』読むわれは無為自然と思ひたし(ちまた)のくさぐさに捉へられても

  無為自然のかく難しき。老齢になれどもなまぐさしわれの周囲(めぐり)

『老子』下篇81「知る者は博からず、博き者は知らず。」「天の道は、利して而して害せず、聖人の道は、為して而して争わず。」
一応『老子』を読み終えたことになる。老子の道はむずかしい。

  老子翁になんどもなんども問ふたれどその難しさ言はんかたなく

『徒然草』189段「不定(ふぢょう)と心得ぬるのみ、まことにて違はず。」物は定めがたく、不確実であることのみが真実だ。 190段「あからさまに来て、泊りゐなどせんは、めづらしかりぬべし。」兼好法師は妻帯するなと言っている。

  不定(ふぢやう)なりしがまことなり兼好法師かく世に背く

  あからさまに来て泊りゐなどめづらしきよきかなよきかな

2023年11月10日(金)

さすがに冷たい。温度が低い。そして雨が降ってきた。リハビリだ。

  ひよどりは小さな鳥どもを制圧す。すずめ、四十雀この頃見掛けず

  ひよどりのむくつけき姿。すずめ子も四十雀もこの鳥を嫌がる

『親密な手紙』(岩波新書)

  大江健三郎の最後のエッセイに学びたるひよどりを憎む少年なりき

『老子』下篇80 「小国寡民」、これは一つのユートピア世界である。

  小国寡民を理想にかかげ老子翁この道を進む自然(じねん)無為に

『徒然草』188段 久々に長い章段である。一事を成し遂げるには、「他の事の破るるもいたむべからず、人の嘲りをも恥づべからず。