2023年8月8日(火)

海老名のホテルに泊まったむすこ夫婦と子どもがまた家に来た。午後1時半過ぎに千葉へ帰るものの、私どもはそれから病院へ。採決と診察、そして薬をたんまり。疲れたのである。

貫井徳郎『罪と祈り』(実業之日本社文庫)を読む。なかなか壮絶なミステリである。

  凄まじきミステリーなり『罪と祈り』五四八頁けふ読み終はる

  昭和天皇葬儀の日 誘拐事件をおこす五人の正義重たし

  切なく悲しき誘拐事件元警官の死よりその記憶を解く

  奇数章と偶数章で年代がかわるミステリー謎多きを読む

2023年8月7日(月)

今日も暑い。長男夫婦が、子どもを見せに家に来るのだそうだ。

  夜に鳴く蟬しばらくは鳴きつづく夜に鳴く蟬の平和を唱ふ

  夢違観音像を絵に写せばここは斑鳩法隆寺の庭

「華」終刊だそうだ。125号、なんだか勿体ない。

  九州の涯に一誌の終刊を告げてさびしき歌滅びゆく

2023年8月6日(日)

ヒロシマ忌。今日も暑いのだ。

  あけぼの杉に日の差すころを九階に俯瞰せば八月六日みどり濃くなる

  この日には八時十五分に黙祷すヒロシマはけふ暑き朝なり

  天皇の来臨はなし。暑き日の一瞬の惨劇たちまちのうち

2023年8月5日(土)

今日も朝から暑い。厚木の町の花火大会が夕方7時からだ。うるさいだろう。

  毎日のくすりに体調ととのへてこの日々を堪ふる退院して後

  宛手先書きしが微妙に違ひ帰り来しハガキ一枚書き直しをり

  住所一箇所違へばハガキの帰りくるたいしたことなき端書一枚

夢に

  寝て起きてへんちくりんな虫のすがたグレゴール・ザムザ巨大いもむし

2023年8月4日(金)

今日も暑い、暑い。10時前にエアコンを入れる。

  JR相模線青き電車のかろやかに社家、門沢橋、倉見を過ぎつ

  かろやかにJR相模線相武台下たんたんと上る段丘のうへを

  入谷から見わたすさがみの野の(はて)に大山(そび)ゆだうだうとして

夢に

  あつち死に死にせる平清盛入道を思いみむとす中世の空に

2023年8月3日(木)

むすこの誕生日だ。暑い日だ。

見田宗介『まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学』(河出書房新社)読了。見田らしい、凄い本だ。解説文の大澤真幸も凄い。

  N・Nの連続四人の射殺事件まなざしの地獄と見田宗介言ひき

  一家心中多きは日本近代の特質と柳田國男かつて言ひにき

  ネット心中これこそがポスト近代の証しなりけり大澤真幸解説

夢に

  千年の(た)(づ)のごときがくだりくるみぞれ雪ふる北の窓にも

2023年8月2日(水)

今日も暑い。正津勉『「はみ出し者」たちへの鎮魂歌』(平凡社新書)読了。文章が、雑なのが気にかかるが、対象が面白い。なにしろ最初が大逆事件の大石誠之助の死を悼んだ与謝野寛なのだ。

  大石誠之助の死をうたふ与謝野寛 無茶苦茶の死をうたひうやむやにせず

  大杉栄、伊藤野枝、そして橘宗一を手にかけし権力の手先、軍を憎む

夏深し魂消る声の残りけり (『友へ 大道寺将司句集』)

  永山則夫の死刑ありしか。抗議の声 魂消(たまぎ)る声の拘置所にひびく

  春洋の死を身も世もあらずかなしめる折口信夫堪へがたきかも