2023年3月28日(火)

朝から雨、絢瀬方面へ今を盛りの染井吉野を観に、妻の運転で回ってくる。午後には雨が上がった。

  用水を被うごとくに桜木の枝撓い並び花散らしたり

  マイカーのドアのあたりはなびらの濡れて貼りつく愛らしきもの

  雨上がり明るくなればひよどりのかしましくして中庭(パティオ)大騒ぎ

鈴木正信『古代豪族大神氏―ヤマト王権と三輪山祭祀』読了。

  三輪山のいただき近き磐座の複雑怪奇今に忘れず

  三輪山は祟りなす山しかれどもその山容のおだやかならむ

2023年3月27日(月)

昨日と打って変わって朝から晴れ。

  満天(どうだん)(つつじ)、沙羅の木のみどり、紅の花付けてつばき中庭(パティオ)の木々なり

  二本ある海棠も赤き花咲かせ春の庭にぎはふ老いの回りは

  鳴き落ちて低きへむかふひよどりの巧みに翻る春の昼どき

2023年3月26日(日)

朝から冷たい春の雨。小田急線、総武線沿線のそめいよしのが満開である。初孫の退院に合わせて、西船橋まで出かける。かわいい赤子だ。

  下総のさくらの花の咲き満ちて雨ふるこの日孫退院す

  口をあけ、指をうごかし、流し目に何かもの言ふいのちのことば

  母の腕にやさしく抱かれ泣くこゑはわれここにありいのちの叫び

  春の雨さくらの花を濡らす日に小さきいのちの懸命のこゑ

  老いわれの腕に抱かれてこの重さいのちのはじめの力と思ふ

  闇を砕くごとくに泣くは初孫にてけふ下総の国に出でます

2023年3月25日(土)

朝から雨。冷たい雨だ。『全歌集』の三校と角川歌壇の選歌で忙しいのだ。

  ここのところあたたかだつたがけふは寒い石油ストーブのスイッチを押す

  雨のなか木々移りゆくひよどりのひとこゑ、そして移りてひとこゑ

  椿の木のしたには赤き花落ちて雨に打たれなほ赤き花

  沙羅の木の枝にみどりの葉を濡らし春の冷たき雨しとど降る

2023年3月24日(金)

昨日は一日雨だったが、今日は朝から青空。そして暖かい。

  雨上がりの朝の空には飛行機雲昨日(きそ)の名残か白くひろがる

  雨上がりの窓にみどりの春溢るとなりの空地に雑草長けて

  九階の窓にも溢る雑草のみどりの色春のいのちの色が

  ひよどりは電線の上。けさもまたするどき声に鳴き、また鳴けり

2023年3月23日(木)

朝は降っていなかったが、午前8時半くらいから降り始めた。しとしとと降り続く。

  雨のなか海棠に花の蕾あり赤きつぼみは春のたまもの

青山文平『本売る日々』読了。江戸時代の村むらを行商して歩く本屋の話。こんなふうにして流行りの草子類と違い、国学書、医書等を取り次ぐ商いがあったのだ。さいごは青山文平らしい感動があり、これまたおもしろかった。

  江戸の世の庄屋、村医者を訪れる本売るあきなひ人を描く

  村医者の口訣(くけつ)を集め開板す書林・松月平助なりき

  おほかたは白木蘭の散り落ちて頃合ひを待ちしかさくら花咲く

  葉とともに白き花咲くさくらなり木を見上ぐればいのちありけり

2023年3月22日(水)

今日は朝からよく晴れて、ずいぶん暖かくなるようだ。

  今朝もまた中庭(パティオ)に明るむあけぼの杉冬木なれども朝の日蒐め

  抽斗の奥に隠れしアルミ銭 昭和四十九年の一円

昭和49(1974)年といえば、49年前。私は、まだ高校三年だ。そこで手持ちの一円玉を調べてみると昭和49年のものがもう1枚、そして50年、58年、60年、昭和の一円玉が4枚、あとはみんな平成だ。古いものになんだか価値があるように思うのは、老いた証しか、偏屈ゆえか。

  北の部屋の暗きに入ればわがめぐりに付き従ふかひかり流れ(く)

  わがからだのめぐりの小さなひかりたち春の妖精しばしたゆたふ