永井荷風は1954(昭和34)年のこの日午前3時頃、胃潰瘍の吐血による心臓発作のため死去。79歳。今日に合わせて『濹東綺譚』を読む。いいですねえ。いつか玉の井ラビラントを訪れてみたいものだ。荷風は、若い頃に文庫になっているようなものは大方読んでいたが、良さを本当にわかっていたのか。まったくわかっていなかったろう。あらためて読み直したい。
向島玉の井あたりのむかし町荷風好みの迷宮ありき
たばこの吸ひさし数本が落ちてゐるここに謀議が謀られたるか
荷風忌は蓮根食ふか蒸籠にはすのねも載せふかしはじめる

永井荷風は1954(昭和34)年のこの日午前3時頃、胃潰瘍の吐血による心臓発作のため死去。79歳。今日に合わせて『濹東綺譚』を読む。いいですねえ。いつか玉の井ラビラントを訪れてみたいものだ。荷風は、若い頃に文庫になっているようなものは大方読んでいたが、良さを本当にわかっていたのか。まったくわかっていなかったろう。あらためて読み直したい。
向島玉の井あたりのむかし町荷風好みの迷宮ありき
たばこの吸ひさし数本が落ちてゐるここに謀議が謀られたるか
荷風忌は蓮根食ふか蒸籠にはすのねも載せふかしはじめる

朝から一日雨です。澁澤龍彦『高丘親王航海記』を近藤ようこが漫画化したものを読む。
天竺國印度へ赴きたき時がある菩提樹の下に花を拾はむ
両性具有に焦がれし日もありしわれなれどいまは正しき翁をめざす
親王は夢みることに堪能なりわれは下手くそ悪夢に覚むる

今日は少し暖かい。散歩はまた川を越えて隣町へ。電柱を見上げる少年がいた。
青天に電柱あふぐ少年は陶製碍子をたしかめてゐる
碍子を楽しめる少年、素晴らしい。
碍子のごとく絶縁傾向あるものか少年はどこか孤高のおもむき
けふなぜか犬曳く人に多く遭ふ吠ゆる小犬あり尿する犬ゐる

今日の散歩には買い物を兼ねて、橋を渡って隣の町へ。途中、寺の脇の道にビール瓶の破片が散らばっているところがあった。
憤懣のその勢ひに叩き割るビール瓶の破片怒りの燦爛
火曜日の夕食担当は私だ。
新玉葱の目を刺す臭ひ充満するキッチンは刺激的創作のとき
麻婆茄子に旬の刺盛り、蒸し野菜、玉葱スープがけふの晩餐
今夜の月はピンク・ムーンだそうだ。明るい、明るい月であった。

今日は青天なれど北風が強く寒い。少し前からツバメがきている。
若葉繁るあけぼの杉の木の下は祈りの場所なり心鎮まる
九階の窓のあたりに燕きて高速反転の技を披露す
今年は杏の花に遭えなかった。室生犀星の「小景異情」この詩を想うのだが。
あんずよ/花着け/地ぞ早やに輝け/あんずよ花着け/あんずよ燃えよ/ああ あんずよ花着け
今年つひにあんずの花に会はざりき室生犀星をおもふ日々あり

つつじの垣にたくさんの花が咲いている。さつきも花を著けはじめた。相模川土手の桐にも花がひらいた。季節が動いている。夕方激しい雷雨があった。季節は初夏になろうとしている。それでも朝晩はまだ寒い。
相模川土堤の桐の木に花咲けば季節が動く初夏のあかるさ
はがき歌仙けふの一句を投函に急げば雷鳴、にはか雨くる
雷の近くに響りてたちまちに大粒の雨ローソンに拠る
雨あがりの夕ぐれどきは楽しきか妻の表情おのづとゆるむ

今日も良い天気だ。第4次緊急事態宣言が発令されるらしい。
うづくまる猫がねむたげな目をひらく瞳の色のサファイアブルー
目に視へぬものとの戦ひこれほどにながくつづくとは思はざりしを
