2021年12月5日(日)

NHK「日曜美術館」で紹介された篁牛人の絵が抜群におもしろかった。今日は曇り空がつづき体感的には晩秋と冬のはざまにあるような。

  晩秋の今朝もひよどり二羽が来るカーテンひらき覗く中庭(パティオ)

  山茶花の白き花びらこぼれ落つ。垣を境に冬の領域

2021年12月4日(土)

今日もよき日であった。海老名高校の通学路に中学生とおぼしき母子が連なっていた。学校説明会のようだ。そんな季節なんだなあ。

  大山の肩のあたりに富士が見ゆアイスクリームのやうなる白さ

  あけぼの杉の枝、葉ちらばる朝の庭はうきに落葉寄せられてゆく

2021年12月3日(金)

夜中2時台、朝6時台、富士五湖あたりを震源とする地震あり。地震は嫌だ。さらに和歌山でも同規模の地震。地震は嫌いだ。

  来年の(カレンダー)の話を妻とするどこかで鬼が笑つてゐるか

空色の冬コートを着た今朝の妻、髪型もあって、ドイツの首相メルケルに似ている。

  わが家のメルケル首相が出勤すブルーのコートのメルケルさんが

2021年12月2日(木)

喪中ではあるが、神棚の注連縄を変えないわけにはいかない。
毎年、寒川神社の売店で調達している。両切り二寸の注連縄は、ここ以外には置いていない。しかも数が少ないので、十二月に入ってすぐに求めないと売り切れてしまう。ということで今日出掛けてきた。気持ちのいい日であり、相模線の宮山で降車、寒川神社に寄って隣駅寒川まで歩き、また相模線に乗って帰ってきた。

  寒川の町を注連縄ぶら提げて師走二日の空の下ゆく

  すずめごゑこもり鳴くなり参道の木がくれにして姿探れず

  相模線新型車両とすれ違ふ軽やかにして踊るが如し

2021年12月1日(水)

今日から12月。12月は忙しなくて嫌いだが、この一年なんだか時がたつのが速くはないか。私だけの感覚とは思えない。温暖化は地球全体の時間を滅びの方へ速めてはいないだろうか。

  昨夜から雨、風ひどかったものの、午前7時前に雨は止んだ。

  水たまりに朝の日差せばきらりきらりそのひかり踏み歩みだしたり

  街路樹の残りの葉々に雨しづく残ればひかる師走朔日

  山茶花の花咲き盛り道の辺は赤き花びら白き花びら

2021年11月29日(月)

野口冨士男『風のない日々/少女』読了。
二・二六事件の前年、社会が暗くなってゆく時代の市井の夫婦のすれ違いを淡々とした筆致で綴り、妻殺しに至る日々を丁寧に描いた「風のない日々」。戦後の混乱の時期、誘拐した十二歳の少女との逃避行と心の通い合いを話題にした野口の小説としては珍しいもので、この二作、いやあよかった。

  薄雲の流るるやうに掛かりたる晩秋の空はるかなるかも

  一晩のふとんのぬくみを抜けがたく老いぼれたればぐずぐずとゐる