宙天を二十四日の月浮かぶ朝七時半うすき雲行く
今日逢ふは紅梅、椿、春の色。雀(こ)躍(をど)りしたきいのちの色なり

宙天を二十四日の月浮かぶ朝七時半うすき雲行く
今日逢ふは紅梅、椿、春の色。雀(こ)躍(をど)りしたきいのちの色なり
悪夢より淫夢がよろし然れども悪夢に目醒む夢に死にき
<主人メモ> 暁闇、夢魔に苦しむ。 悪魔が出てくるわけではないのだが、夢の空間そのものに悪意がある。 旅の最中に帰りの駅を探す夢をたびたび見る。 今朝は100mほどの絶壁の鎖場、登り切れない人が次々に落下してくる。 死体の山。死にたくない。 ここは無理だと思い、別途駅への道を探るものの、 いつまでもいつまでも山肌の崩れた砕石場のような場所から抜け出せない。 途中飛行したりもするのだが、ここで果てていくのか。
笠雲といふより帽子雲かぶり雪の少なきことしの富士は
ぽつり、ぽつり梅の花咲くところある冬風強きに白き花咲く
<主人メモ> 寒川神社に初詣。その途次、富士山にかかる笠雲を見る。
七草を茹でたる汁に爪を浸け初爪を切る縁起よきかな
<主人メモ> 今日は「爪の日」でもあるらしい。
生活のなにが変わるか偏屈房主人としては慎むべきか
<主人メモ> 夕刻、1都3県に緊急事態宣言発令される。
鳶となり町の上空を遊弋すとんがり屋根を探すがごとく
冬の田のひろがるところ鳩の群れ、すずめの群がり交差して飛ぶ
行く先にすずめ集まる。わが影を察知したるかいつせいに飛ぶ
<主人メモ> 今日は「色の日」だそうで、今年のグッドカラーはwhite。まあ、どうでもいいか。
芝草に遊ぶ子猫に変身し跳びあがる、寝ころがる、毛繕ひする
冬の日の乏しきひかりを川原(かははら)に鵙が来ている枯葦の穂に
<主人メモ> 「歩くのは、心に風を通してちょっとだけ変身することなのだ。」(山本貴光『投壜通信』)。 「朝日新聞」の鷲田清一の「折々のことば」(2020・12・12)で知った心嬉しいことばである。
鴨どりの群がるところ鵜も混じり相模川中流域は賑やかである
日の沈む山の鞍部に熟柿(ずくし)色残してさがみの山暮れてゆく
<主人メモ> 今日もまた、この相模国は穏やかである。 しかし、新型コロナウィルスへの感染症対策として首都圏1都3県に緊急事態宣言が検討されているようだ。 3県の一つは神奈川県である
年賀状にハガキ歌仙の句がとどきたのしきかなや正月三日は
<主人メモ> 箱根駅伝、國學院大學は総合9位、来年のシード権獲得、よし。ちょっと嬉しい。
河原には凧上げ争ふ子らのこゑ正月二日空に雲なし
土堤の上に相模大山みはるかす紅葉葉落とし茶色の山
<主人メモ> 今日もまた穏やかな日である。 相模川の河原では凧がいくつか上がる。 箱根駅伝往路、國學院大學9位。まあよしとしよう。