2023年3月14日(火)

朝方は曇り、やがて晴れてきたが、あまり暖かくはない。

  曇りなれど風弱き朝中庭のあけぼの杉は春芽赤らむ

  界隈をひよどり二羽がかけめぐる公園、マンション、手もみ屋あたり

  となり町の空家の家の大木の白木蘭あまたの花落したり

  マンションの前の空地の春草原いかる二羽ゐて黄の(はし)うごく

2023年3月13日(月)

朝はまだ降っていなかったが、じきに降りだし午後一時過ぎに止んだものの、どんよりとしている。

  救急車の音に覚めたり。朝まだき明けぬどこかに病む人がゐる

  木蘭の花ひらききり妖艶の色香ただよふ中庭(パティオ)にをりき

  沙羅の木も芽を尖らしてみ冬つぐ春を待ちをり三月半ば

大江健三郎死去の報

  この時代の指標の一人また死すとこの世の熱の何度か下がる

2023年3月12日(日)

四月並みの暖かさとは思えぬ寒さであった。東京駅で息子と会って、妻と三人でステーションギャラリーで開催されている「佐伯祐三 自画像としての風景」を観てきた。けっこう人が入っていたのには驚いた。佐伯はたしかに人気のある画家だが短い生涯だった。後半の絵の迫力には凄さがある。

  テーブルに短き白髪わが毛なりいつのまにか落つ老いのあかし

  佐伯祐三「郵便配達夫」の手の大きさ目の迫力このいのちの力

春の小田急線

  沿線はこぶし、木蘭白き花てんてんとして目を楽します

2023年3月11日(土)

東日本大震災のあの日から12年。この日も忘れられない日だ。

  あの日の午後大揺れに揺れ怖ろしき数分なれどいまだ怖ろし

  中庭の白木蘭がいつせいに白かがやかす三月十一日

  白木蘭咲くべくなりてかがやきぬ

  鎮魂の花のごとくに純白の清きかがやき木蘭の花

2023年3月10日(金)

東京大空襲、あの日から78年。忘れてはならない日だ。

  (き)のやうなかたちの雲が雨上がりの空に浮かぶはなにかあやしき

夔は神様である。そのうち私が模写した絵が、歌日録に上がるはずです。おたのしみに。

  大山の後ろ連山に雲たまり春いまだ浅き日の(あした)なり

  橋の下の淀みにうかぶ鴨どりの鳴くこゑ聴く声たのしきろかも

  大木の木蘭の木に花あまた窄めるもあり満開もあり

2023年3月9日(木)

昨日午後、むすこのところに男子が生まれた。初孫である。名前はまだない。

  ひさかたの(しゅん)(ちう)ふかく生れくるきみの未来のたのしくあれよ

さて今日もまた春らしい空であり、空気である。

  朝がすみ西につらなる山々の春のうづきを隠さうべしや

  哀しげに、また喜々として鳴くしらべ朝のひよどり木々を移ろふ

  石畳に破れ砕け散るむらさきの壜の欠片に朝の日の差す

隣町には空家の庭に大木の木蓮がある。

  木蓮の大木に花咲き満ちて春の午後なにかあやしきけはひ

2023年3月8日(水)

昨日に続き春めいた青天だ。

  古新聞と広告の束を持て余し一階まで降ろす月に一度

海老名方面に出る。

  ひよどりはここにも雄の一羽ゐてこゑかしましく雌呼ぶこゑか

  朝の日は海老名田んぼの畦を照らす薺の花の群れ咲くところ

  ひこばえにみどりあかるき冬の田に橋太鴉一羽降り立つ