朝方は曇り、やがて晴れてきたが、あまり暖かくはない。
曇りなれど風弱き朝中庭のあけぼの杉は春芽赤らむ
界隈をひよどり二羽がかけめぐる公園、マンション、手もみ屋あたり
となり町の空家の家の大木の白木蘭あまたの花落したり
マンションの前の空地の春草原いかる二羽ゐて黄の嘴うごく

朝方は曇り、やがて晴れてきたが、あまり暖かくはない。
曇りなれど風弱き朝中庭のあけぼの杉は春芽赤らむ
界隈をひよどり二羽がかけめぐる公園、マンション、手もみ屋あたり
となり町の空家の家の大木の白木蘭あまたの花落したり
マンションの前の空地の春草原いかる二羽ゐて黄の嘴うごく

朝はまだ降っていなかったが、じきに降りだし午後一時過ぎに止んだものの、どんよりとしている。
救急車の音に覚めたり。朝まだき明けぬどこかに病む人がゐる
木蘭の花ひらききり妖艶の色香ただよふ中庭にをりき
沙羅の木も芽を尖らしてみ冬つぐ春を待ちをり三月半ば
大江健三郎死去の報
この時代の指標の一人また死すとこの世の熱の何度か下がる

四月並みの暖かさとは思えぬ寒さであった。東京駅で息子と会って、妻と三人でステーションギャラリーで開催されている「佐伯祐三 自画像としての風景」を観てきた。けっこう人が入っていたのには驚いた。佐伯はたしかに人気のある画家だが短い生涯だった。後半の絵の迫力には凄さがある。
テーブルに短き白髪わが毛なりいつのまにか落つ老いのあかし
佐伯祐三「郵便配達夫」の手の大きさ目の迫力このいのちの力
春の小田急線
沿線はこぶし、木蘭白き花てんてんとして目を楽します

東日本大震災のあの日から12年。この日も忘れられない日だ。
あの日の午後大揺れに揺れ怖ろしき数分なれどいまだ怖ろし
中庭の白木蘭がいつせいに白かがやかす三月十一日
白木蘭咲くべくなりてかがやきぬ
鎮魂の花のごとくに純白の清きかがやき木蘭の花

東京大空襲、あの日から78年。忘れてはならない日だ。
夔のやうなかたちの雲が雨上がりの空に浮かぶはなにかあやしき
夔は神様である。そのうち私が模写した絵が、歌日録に上がるはずです。おたのしみに。
大山の後ろ連山に雲たまり春いまだ浅き日の朝なり
橋の下の淀みにうかぶ鴨どりの鳴くこゑ聴く声たのしきろかも
大木の木蘭の木に花あまた窄めるもあり満開もあり

昨日午後、むすこのところに男子が生まれた。初孫である。名前はまだない。
ひさかたの春昼ふかく生れくるきみの未来のたのしくあれよ
さて今日もまた春らしい空であり、空気である。
朝がすみ西につらなる山々の春のうづきを隠さうべしや
哀しげに、また喜々として鳴くしらべ朝のひよどり木々を移ろふ
石畳に破れ砕け散るむらさきの壜の欠片に朝の日の差す
隣町には空家の庭に大木の木蓮がある。
木蓮の大木に花咲き満ちて春の午後なにかあやしきけはひ

昨日に続き春めいた青天だ。
古新聞と広告の束を持て余し一階まで降ろす月に一度
海老名方面に出る。
ひよどりはここにも雄の一羽ゐてこゑかしましく雌呼ぶこゑか
朝の日は海老名田んぼの畦を照らす薺の花の群れ咲くところ
ひこばえにみどりあかるき冬の田に橋太鴉一羽降り立つ
