朝から気持ちの良い晴れ具合である。
ほのぼのと春空明けてほのぼのとこころうるほふ弥生九日
ひさかたの春のひかりのまばゆくてうすきみどりの木々のかがやく
鴨どちは春あたたかきに川淀にあまた群れゐるいつここを去る
手指の傷水に触ればなほ痛く赤剥けてゐる親指の傷
和菓子屋に九十一歳の母を祝ふ「菜の花」三つ贖ひもどる

朝から気持ちの良い晴れ具合である。
ほのぼのと春空明けてほのぼのとこころうるほふ弥生九日
ひさかたの春のひかりのまばゆくてうすきみどりの木々のかがやく
鴨どちは春あたたかきに川淀にあまた群れゐるいつここを去る
手指の傷水に触ればなほ痛く赤剥けてゐる親指の傷
和菓子屋に九十一歳の母を祝ふ「菜の花」三つ贖ひもどる

朝はそれなりに寒い。しかし昼前後には暖かな春の日に。
西に連なる山は雲中にかくれたり空寒げなればこころ晴れざる
トイレ紙を引き出しながらぼつぼつと買ひにいかねばザーネクリーム
レンズより人脂拭ひ掛け直すメガネ少しだけすつきり
左手の親指の先にバンドエイド貼りたるは昨日の傷隠すため

雲が多く寒空だ。とはいえ寒桜のたぐいが、それなりにあちこちで咲いている。
あけぼの杉の太き枝の上にひよどりのくちばし開き雌を呼ぶか鳴く
日曜美術館はエゴン・シーレ。
死の怖れと生の苦痛を画布に塗りたくるなりエゴン・シーレは
子どもを描くエゴン・シーレのやさしさが絵にあらはれて子らのやさしさ

少し暖か。
なんとなく心の底にわだかまりあれば楽しまず春のこの日も
中庭の東の端に咲くさくら寒のさくらは白き花付け
さくら木は白き満開の花咲かせあたり濃密なるさくらの匂ひ
マスクを外しさくらの花に近づけば木のめぐりたゆたふ花の香り

けっこう寒い。
雲のすきまに青空すこし覗けたる三月三日ひなの日の朝
京三条の陶器の店にあつらへて四十年経る女びな男びなよ
わが部屋の扉を開ければ百合の国 白百合大きな首垂れてゐる

朝から少し暖かい。
眼鏡の脂ぐもりを拭きとれば三月二日の空晴れてゆく
物価高騰、賃金値上げ世の中は金勘定ばかりあゝやるせなき
特養さつきの場所を確認
冬の木の欅の枝に移りくるひよどり二羽の鳴き交すこゑ
成瀬櫻桃子『久保田万太郎の俳句』を読む。いい本だ。
遮莫焦げすぎし目刺しかな 万太郎
赤貝を誤嚥して死す万太郎遮莫なんとも寂し

今日から3月である。2月はなんだかあわただしかった。
朝焼けが美しい。
朝焼けは空、町、山を桃色に染めてさがむの弥生朔日
こよひ来るむすめのために菓子鋪より鶯餅を選びて帰る
駅までの近道に梅の花咲く木けふはマスクを外して匂ふ
川端康成『少年』を読む
旧制西成中学の寄宿舎時代 少年愛を作家は語る
大本教の幹部の子なり川端の愛せし少年清しかりけむ
夕日差しあけぼの杉に差すひかり冬木は大き灯火となる
