雲が多い。だから寒い。
火喰鳥のかたちの雲が迫りくる冬空高く奇怪きっくゎい
北の部屋にスノーボールがおいてある。
玉ゆらのスノーボールの街のなか死者住むところか雪ふりつづく
ニューヨークのビルが逆さにころがりて阿鼻叫喚のごときが聞こゆ

雲が多い。だから寒い。
火喰鳥のかたちの雲が迫りくる冬空高く奇怪きっくゎい
北の部屋にスノーボールがおいてある。
玉ゆらのスノーボールの街のなか死者住むところか雪ふりつづく
ニューヨークのビルが逆さにころがりて阿鼻叫喚のごときが聞こゆ

立春なれど寒い。
植木屋の鋏が入り庭木々の枝の切り口ひかりするどし
しづかなる時の流れに鴨どりの群がるごとしひろがるごとし

今日も寒い。
冬木々の森のあひだをかけぬける時間の鳥の朝の一声
呉明益(ウ・ミンイー)『歩道橋の魔術師』読了。1980年代の台北の中華商場の少年少女たちの不思議な世界を描いたこの小説にわたしは魅了された。
台北の昔に遊ぶ子どもらを惑はす歩道橋のうへの魔術師
節分だ。 二月三日節分の夜は鬼やらひ福豆六十六粒喰らふ

あいかわらず寒い日だ。
れんこんの如くつながりJR相模線四輛がたがたごとごと
冬の田の刈れ藁に飛ぶ鶺鴒にひかりあまねし游ぶがごとく

今日から2月である。
空の涯にうすもも色を暮れのこし一月尽のひと日を終ふ
とりわきてへんてつもなく昨日よりけふへ二月の青き空くる

晴天。寒い。
冬天はただ澄みわたる響きあり
いく度も悪夢に覚めてぬばたまの夜に目をひらくひかり求めて
風上へ青き流れのうへを飛ぶしらさぎ一羽高く羽搏き

昨日のことだが。昼は茅ヶ崎市美術館のカフェで食す。
おれはグラタン、妻は焼きカレー対ひて喰へばなにかをかしき
美術館の松の林の一隅に白梅ひらくたしかに香る
