2022年6月12日(日)

朝からまあまあの天気だったのだが、なんと午後突然に雨。じきに止んだが、落雷もある。夕方は穏やかな青空になった。

深沢七郎『みちのくの人形たち』、たぶん三読目。いやあ、読み直すたびに凄い小説集だと思う。博多人形の裏に描かれた男女のひめごとの写しにせつなさをあきらかにする「秘戯」ばかりが印象に残っているが、それ以外の表題作や「『破れ草紙』に拠るレポート」「和人のユーカラ」「いろひめの水」など生と死の境の暗闇を覗きこむような怖さとエロスがある。いやあ、いいなあ。いくたびか登場する編集者の祐乗坊さん、嵐山光三郎さんが深沢七郎の近くにいるのもおもしろい。たしか深沢のことを書いた嵐山の小説があったはずだ。しかし、ここのところ昔読んだ本を読み返すことが重なっているが、おおかたを忘れてしまっている。三読目ということは、そういうことだからだろう。これはやはり老化か。

人の世のふかきくらやみを覗きこむ深沢七郎の小説を読む

忘失は年齢ゆゑかいくたびも読みしがやがておほかた忘る

ベランダには鳥の羽毛の落ちてゐるわが目を盗み鳩がきてゐる

2022年6月11日(土)

海老名高校の裏側の田んぼ、おおかた田植えが終わっていた。鴨が一羽、水田を泳ぎ、ときおり蛙の鳴く声がする。大谷水門は、恐ろしい程に大量の水があふれかえっている。厳重に鉄網が張ってあるのは落ちたらたいへんなことになるからであろう。鉄網が無かったときのことを想像するだけで怖ろしい。大量の水流に吞み込まれてしまいそうな気がしてきて、早々に水門を離れる。

薄墨を滲ませて六月のくもり空青蛙あまた鳴く声きこゆ

水の上の苗がひよひよ躍りだすさみどり色の稲の若苗

田植ゑどきの大谷水門の水あふれ海老名南方の田地うるほす

2022年6月9日(木)

今日も朝から曇っている。そして、少し寒い。午後、青い空が覗くものの雲が多い。

(ほつ)()には天の花咲く一つ花。清浄(しゃううじゃう)のいろ沙羅の木のはな

菩提心われにもあるか雨に立つあけぼの杉にただ手を合はす

森鷗外没後百年を記念して岩波文庫の新版『ウィタ・セクスアリス』が出た。学生時代旧版『ヰタ・セクスアリス』を読んでいるから再読だが、懇切な註の付いた新版の読書は、新鮮な面白味を感じた。痛快である。鷗外恐るべし。岩波文庫の宣伝に乗せられてしばらく鷗外を読んでみようと思っている。

ヰタがウィタになればなにかが変はるのか読後の印象痛快至極