2025年1月10日(金)

今日も晴れである。

原武史『象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁録」を読む』読了。戦後の初代宮内庁長官を務めた田島道治(1885~1968)の「拝謁記」、「日記」、田島宛の書簡など「関連資料」を合わせた総称をいう。それを歴史学者の原武史が懇切に読み解いた本で、戦後の昭和天皇の実像が記されている。いろいろ興味深い話題があるのだが、母親である貞明皇后との不仲、共産党の行方についてなどについて、昭和天皇のおとぼけや見当違いなど露わに語られ、おもしろかった。

  ほどもなく降りだしさうな曇天にわづかにひかり射すわが在るあたり

  曇天を歩きだしたるその後を冬の雨ふるわれら追ひこし

  傘をさせばポロリポロロン鳴り出して蝙蝠傘もたのしきろかも

『論語』憲問三二 孔子曰く「人の己れを知らざることを患へず、己れの能なきを患ふ。

  人がおのれを知らざることを嘆かずにわれに能なきことをかなしめ

『古事記歌謡』蓮田善明訳 二二 イスケヨリヒメ
畝火山 昼は雲と居       畝火の山も昼うちは のどかな雲が浮いている
夕されば 風吹かむとぞ     夕べとなれば風吹くと
木の葉さやげる         ざわざわ木の葉が鳴りいだす

  畝傍山の昼は雲なり夕されば風ぞ吹きだせ木の葉もさやぐ

2025年1月9日(木)

寒いが、晴れ。

  朝明けのひむがしの空にわだかまる雲桃色にしばし輝く

  いつのまにか桃色うせてだいだい色に雲棚引けり東南の空

  いまは晴れて雲少なきにゆつくりと雲が覆ふ雨ふるらむか

『論語』憲問三一 子貢、人を(たくら)ぶ(比較し批評する)。孔子曰く「賜(子貢)や、賢なるかな。夫れ我れは則ち暇あらず。」
皮肉のようなものかな。人を批評するなどおこがましい。

  子貢人を(たくら)ぶことあり孔子言ふ子貢よ賢かわれには暇なし

『古事記歌謡』蓮田善明訳 二一 イスケヨリヒメ
狭井川よ 雲立ちわたり     狭井川べから雲わいて
畝火山 木の葉さやぎぬ     畝火の山は木がさわぐ
風吹かむとす          風の寄せ来るそのしるし

  狭井川には雲が立つ畝火山では木が騒ぐなにかがおこるしるしなりけむ

2025年1月8日(水)

いい天気だ。寒い。

  菓子箱に入りたる小さなシリカゲル腐らせないぜ自信もつゆゑ

  シリカゲル手に握りしめおのが尻日影に置きてこれぞ尻翳る

  あけぼの杉の冬木になる前のなんとなく無様な態の木影に隠る

『論語』憲問三〇 孔子曰く「君子の道なるもの三つ。我れ能くすること無し。仁者は憂へず、知者は惑はず、勇者は懼れず。」子貢曰く「夫子自ら道ふなり。」

  仁者憂えず、知者惑わず、勇者懼れずこれ孔子の事なり

『古事記歌謡』蓮田善明訳 二〇 カムヤマトイハレビコノ命
葦原の 湿(しけ)こき小家(をや)に     狭井川べりの葦原の
菅畳 弥清(いやさや)敷きて       湿けた小家に菅畳 いと清らかに敷きのべて
わが二人寝し         われら交せし新枕

入内したイスケヨリヒメに天皇が歌った。

  葦原の小さな小屋に菅畳清く敷きてぞわが二人寝し

2025年1月7日(火)

朝は雨だが、だんだん雲が晴れてゆく。

  ひよっとこの仮面をかぶりひょっとこになれば踊らむひょっとこひょっとこ

  ひょっとこの群舞もあらむやかましくひょっとこ叫び踊りつづける

  ひょっとこは火男ならむ風呂焚きに火を吹く男剽軽なりき

『論語』憲問二九 孔子く「君子は其の言の其の行に過ぐるを恥ず。」

  言葉より実行するを重んずる孔子なりけりかくも質朴

『古事記歌謡』蓮田善明訳 一九 オホクメノ命
媛女(をとめ)に (ただ)に会はむと    どこやらのお嬢様に
わが裂ける利目       会いたい一心で

  奇異ならむその裂ける目に見つめたりイスケヨリヒメと直に会ふべし

2025年1月6日(月)

朝は雲がもも色になり、晴れていたのだが、やがて雨になるらしい。ほどよい雨ならばうれしいのだが。

  大山に雲かかりたる睦月三日寒げなり空は重し

  大山は動かぬところ穏やかなり木々も動かず一月の空

  ことしこそまあまあ穏やかであればよし日々戦乱の報ぞなければ

『論語』憲問二八 曾子曰く「君子は思ふことの其の位を出でず。」

  君子は職分以外は考えず曾子言ひけりこのことばよし

『古事記歌謡』 一八 イスケヨリヒメ
あめつつ ちどりましとと   これはこれは千鳥さま
など裂ける利目        なんでお目目が裂けてるの

  目が裂けて見ゆるは目尻に刺青を入れてゐるせいだからだらう

2025年1月5日(日)

快晴だ。

谷崎潤一郎『鍵・瘋癲老人日記』の二編を読む。どちらも性的には不能になっている老人の性欲の話である。「鍵」は、美形の妻との交渉を、それぞれの日記を秘密に読む、といってもお互いに読んでいることを悟られないように、実は知っているのだが、その交渉が中心になる。「瘋癲老人日記」は、嫁の颯子への偏愛ぶりが異常なほどで、どちらも奇抜ながら楽しめるし、おもしろい。年をとった谷崎は変だ。ま年寄ってからだけではないのだが。

  赤いポスト一本足に立ちたるにここより異界かポスト跳び飛ぶ

  まだ少し葉の残りたるあけぼの杉朝のひかりに照らされてゐる

  けやき樹はとうに少しの葉は落ちて死にたるか洞の穴深くして

『論語』二七 孔子曰く「其の位に在らざれば、其の政を謀らず。」
その地位にいるのでなければ、その政務に口出しをしない。

  その位置になければ孔子は政務に口出しをせじず

『古事記歌謡』蓮田善明訳 一七 カムヤマトイハレビコノ命
かつがつも      まずまず
最先だてる      真先の
愛をし纏ふ      美人を得たいものじゃ

  先頭の大きな目の娘を選ばむとカムヤマトイハレビコノ命言ふ

2025年1月4日(土)

今日は晴れてる。しかし寒いのだ。

今年の紅白歌合戦の題名から、

  晩餐会はあんたの花道、幾億光年はいよろこんで

  神田川になごりの雪のぽつりぽつり寂しきときのすぎとすらむ

  冬日差しながくのびたるこの日暮れなにごともなく一日すぎたり

『論語』憲問二六 (きょ)(はく)(ぎょく)(衛の大夫)、人を孔子に使ひせしむ。孔子これに坐を与へて問ひて曰く、「夫子何をか為す。」対へて曰く「夫子は其の過ち寡なからんことを欲して、未だ能はざるなり。使者出ず。孔子曰く「使ひなるかな、使ひなるかな。」

  反省をよく重ねたる蘧伯玉その使者立派なりよき使ひなり

『古事記歌謡』蓮田善明訳 一六 オホクメノ命
オホクメノ命は、イスケヨリヒメを見て、歌をもって、
倭の 高佐士野を      倭の高佐士野を
七行く 媛女(をとめ)ども      おとめ七人並び行く
誰をし(ま)かむ        妻に召すにはどれがよい

  倭の高佐士野を並びゆく媛女(をとめ)妻に召すにはいづれよからむ