2023年2月21日(火)

青天だが寒い。

  山の端が薄桃色に明けてくるさがみの国の朝のはじまり

  今日はまた冬の空気にもどされて大山山陵くきやかにして

相模川の鴨たち

  (かしら)赤き鴨に黄色の鴨それぞれ風に逆らひ遅々たり(のぼ)

  いち早くさくら花咲く家の前 表札よめば級友の名

川端康成『千羽鶴』を読む。なかなか奇妙なエロスの香る小説だ。一人の青年をめぐる女性たちのそれぞれの魅力と悪意。志野の茶器を象徴のようにして、いったいヒロインは誰なのか、文体は明朗なのだが、謎めいた魅力がある。いやあ、あらためて川端康成、ただものではない。

  (えん)なるは太田未亡人か茶を喫しエロスの世界にとりこまれたり

  志野焼の(つや)。『千羽鶴』一編に底流しこのエロティックなかなかのもの

2023年2月20日(月)

なんとなく春のあかるさなのだが、決してあたたかなわけではない。

  ところどころうすももいろに明けてくる空をみてゐる妻とわたくし

月曜日のゴミ、紙・牛乳パックなどを捨てにゆくとき

  あけぼの杉の冬木の高き枝揺らしひよどり一羽朝のひと声

隣町へ川を渡る。

  青空に雲の断片白くしてあたりは春の空気に満ちたり

『老子』下篇65 理想的な政治は民を愚かにするという逆説的な説。なんだか奇妙だが、ここにまた「玄徳」が出て来る。無知の状態で天地自然の流れに順応していく境地。う~む、なかなかむずかしい。

『徒然草』152段・153段・154段 この三段いずれも日野資朝について。

  日野資朝の逸話三題を並べたる兼好法師よなにによろこぶ

2023年2月19日(日)

たしかに暖かいが、曇り空。そして、なにより風が強い。

  木蓮の芽の毳々の先わづか乱れはじめれば春は近づく

  南風つよきがゆゑに枯れ葉舞ふ落ち葉躍れり愉しきがごと

  エゴン・シーレわが若き日のアイドルの一人なりその短命惜しむ

2023年2月18日(土)

暖かく晴れました。上野の都美術へエゴン・シーレ展を妻と観にいってきた。そこそこの人混み、往復ロマンスカーを使ったものの疲れた。昼は池之端亀屋にてうなぎ丼を。

  毛皮の襟巻をした母の憂ひ顔エゴン・シーレわかき日の絵

  二十世紀初めの街を温度ある絵に描くその色彩やよし

  裸婦を描き男のやうなるうしろすがたエロスよりその(いき)たくましき

2023年2月17日(金)

今日も寒い。ただよく晴れている。

  けさもまたひよどり二羽がかけめぐるつばき花咲くパティオの繁み

  相寄りてまた離れては鳴き交はしひよどり二羽のダンス・ダンス・ダンス

  朝闇に繊月するどきひかりありきさらぎ半ばの今朝また冷ゆる

2023年2月16日(木)

寒いが、青天。横須賀短歌会の日だ。また楽しい会であった。

  「萌揺月」とふ語をあたらしく知ることも会のたのしさ喧々諤々

  軍港に米軍艦のすがた見えず潜水艦も一艘も見えず

帰途、茅ケ崎で少憩。

  例会の帰りは途中の駅で降りチーズケーキに珈琲一杯

2023年2月15日(水)

今日は年金支給日であり、給料日でもあるらしく金融機関が混みあっている。10時前から列になっていて、用が足せなかった。うんざりだ。

  川波のリズムにあはせ悠然と白鷺一羽対岸へ飛ぶ

  郵便局も農協も銀行さへも混みあつて列につらなるもううんざりだ

『老子』下篇

  「万物の自然を輔け、敢て為さず」政治の要諦、無為自然なり

『徒然草』149段

  鹿(ろく)(じょう)を鼻に当てて嗅ぐべからず。小さな虫が脳食むといふ

鹿茸は、鹿の袋角。夏至の頃生え替わる新しい角。取ったものを乾燥して強壮剤などに服用した。

150段・151段

  技芸のこと二段にわたり記せるはあいなき芸に辟易したるか