2022年7月14日(木)

蒸し暑いんだな。人類は、滅びの道を急いでいるようにしか思えない。

いつかはくるXデイへのカウントダウンもうはじまつてゐるオレにはきこえる

わたしも滅びはじめているのかもしれない。

(からだ)ごと(なづき)もともに発条(ぜんまい)のほどけてゆくか滅びの径を

2022年7月13日(水)

朝、妙に涼しい。とはいえだんだんに暑くはなるのだが。ときおり雨もふる。

三島由紀夫『中世 剣』を読む。「中世」は、「いつ来るかわからぬ赤紙(召集令状)にそなえて、遺書のつもりで書いた作品」と三島自身がいう小説で、たしかに緊迫感がある。足利義政の時代の話なのだが、ぶきみに亀が鳴くのだ。ほんとうは亀は鳴かないのだが。「剣」もまた後の三島の死を思わせる一編である。

古き世のことだまを求め読む本の緊迫感にこころ寒けし

コンパクトハンディファンの風に()きもつと猛暑の夏よ来ないか

2022年7月10日(日)

娘の結婚相手の両親と会う。緊張した。生活歴が違いすぎるのだろうか。

七月十日朝しつとりと明けてくるもののふの国あやふかりしを

重信房子歌集『暁の星』を贖う。

やはらかなる心の襞をあへて隠すテロリストのおもひにわがおもひ重ぬ

2022年7月9日(土)

今日も朝は涼しい。海老名高校の裏から大谷水門をまわって一歩き。

あふれだす大谷水門の水の量だくだく流れしぶきあげたり

水門に二つの流れに岐れゆくどちらも激しく波打ち流る

田んぼの近くの道路にはアメリカザリガニの残骸が散らばっている。どうやらカラスのせいらしい。

ざりがにの肉喰ひつくし固き殻棄つからすの母子

元三大師の絵のような足の長い黒い虫をつぶしてしまった。

元三大師のごとき手足のながき虫つぶせり国津罪を犯せり

2022年7月8日(金)

朝は少し涼しめ。

野口冨士男『暗い夜の私』を読む。ここでも『なぎの葉考・しあわせ』について感想を述べたことがあるはずだが、この一冊もよかった。戦前・戦中・戦後の野口をめぐる若き作家たちの文壇状況が、さまざまな人の繋がり、エピソード、時代がもつ暗さが、丹念につづられている。太宰治の葬儀の夜の外村繁、十返肇との交友、「戦争は一つ一つ私から何かをうばっていく」などがわたしの心にふれてくる。今日はいろいろあったようだが、ふれたくもない。

沙羅双樹の葉をちぎりとりてのひらに載せて小さな葉を愛ほしむ

錯綜する葉脈を絵にうつしゆく夏つばきの葉のいのちの(すぢ)