あの東日本大震災から11年、いまだに行方不明者が2523人いると新聞は伝える。
みづに死にいまだしづまらぬたましひのひかりただよふみちのくのうみ
たましづめの薔薇のはな前後の籠にのせ自転車が走る海への道を
木蓮の毛羽だつつぼみふくらみて三月十一日春にちかづく

あの東日本大震災から11年、いまだに行方不明者が2523人いると新聞は伝える。
みづに死にいまだしづまらぬたましひのひかりただよふみちのくのうみ
たましづめの薔薇のはな前後の籠にのせ自転車が走る海への道を
木蓮の毛羽だつつぼみふくらみて三月十一日春にちかづく

昨日、むすめが祖母の90歳の祝いを持って帰ってきた。結婚の話もあって、少しくうれしく穏やかな時間があったのだが、その時もテレビの情報番組はウクライナのロシア軍による侵略報道をこれでもかこれでもかというほどに放映していた。過去に学ばない、そして平和な未来を構想できない独裁的指導者のしたり顔。なんともやるせない気持ちになる。そして、こうした事態に何もできない無力であることの罪に思い至る。ああ。
今日は1945年の東京大空襲の日から77年。ここにも理不尽な殺戮があった。人類とは、まったく過去に学ばぬ莫迦ばかりだ。
炎に焼かれ阿鼻叫喚の中にある「死」と「生」みずからの手には選べず
これもまた想像しがたき過去の一つおもへば平和に慣れすぎたるか

空気は冷たい。しかし春の明るさは感じられる。小さな蚊のような虫が窓に、網戸にへばりついている。外は冷たいが、家の内の温かさが窓や網戸には伝わるのだろう。
蚊のやうな小さな虫がへばりつく網戸をゆらすいまいましげに
サンダルに安養院まで梅を観に白く蓬けて散らばる花を

ようやく春の気候になりかかっているところ、今日は寒い。冬の気温だ。
西風吹けば余りにつよく吹きすさぶ老いの痩せ軀はただ立ち尽くす
春田打ち終へたるところ増えてきて海老名田んぼに土色の風

母の90歳の誕生日である。卒寿も珍しいものではなくなったが。
牛蒡色に枯れゆく九十路の老女なり神のごときかわが老いし母
白梅の花の蓬けてかすむ路地ぬけてしづけし水の流るる

モデルナのせいか注射をうった左腕が痛いというか重い。椿の花が落ちている。
夏目漱石『草枕』を読む。学生時代に読んでいるはずだが、なんにもわかっていなかったのだろう。これまた凄い芸術家小説だ。洒脱な俳味もあって、いっぽうで真剣な人生の啓示もある楽しい読書であった。
血まみれの人魂のごとき紅つばき水流れゆくオフェーリアとともに
白梅のかがやくごとき木の下に『草枕』ひらき陶然とゐる

今日は啓蟄だそうだ。だからだろうか何か腹の中がもぞもぞするような。ワクチン接種3回目にもいってきた。
虫だつた過去をぼんやりおもひだす葉つぱなつかし葉脈に触る
肩肌に注射の針の痛みあり春の風はげしき小川に近く
