さすがに昼間14℃、雲もなく春めいてはいるが、風は冷たい。
野菜、ハムこまかく刻み炒め喰ふあはれいのちあれば今日も昼喰ふ
茂吉忌は1953年2月25日。
あかあかと燃えて日輪のぼりゆくたまきはる茂吉死にしは昨日

さすがに昼間14℃、雲もなく春めいてはいるが、風は冷たい。
野菜、ハムこまかく刻み炒め喰ふあはれいのちあれば今日も昼喰ふ
茂吉忌は1953年2月25日。
あかあかと燃えて日輪のぼりゆくたまきはる茂吉死にしは昨日

井上荒野『あちらにいる鬼』を読んだ。父、井上光晴とその妻、そして井上の愛人であった瀬戸内寂聴との三人の関係を井上の娘、荒野がえがいた小説だが、凄い。それぞれ白木篤郎、笙子、長内みはるとして描かれ、その不思議な関係が、娘によって、すぐれて濃密にえがかれ、読むものを圧倒する。わたくし不覚にも、笙子の死の場面では、目のふちにじわっと涙を滲ませた。この不自然な愛の形をあらわす小説を何と呼べばいいのだろう。ただただ凄い。
濃密なる小説世界を脱けだせずもんもんと朝のふとんにもぐる
今日は、すこし暖かく感じられる。虫たちは敏感だ。
空中を小さな蟲が浮遊する老いに枯れたるわれをもめぐる

晴れてはいるが今日も寒い。鴨やかいつぶりの浮かぶ川の上の橋を渡る。
鴨の群れにかいつぶり雑り水潜るしばしの後に陣外に浮く
鴨の群れの一羽に視線をさだめたり陣の端に拠る小さき鴨に
雲白く映りてけさの鴨の陣

朝からよく晴れているが、寒い。数日前のNHK「日本百名山」に九州の英彦山登山の様子が映っていた。
英彦山の岩峰嶮しこころ飛ぶ
古への祈りの峯をはひのぼり岩壁をわがたましひの飛ぶ
洞不全症候群のせいで失神したときのことをときおり思う。
もう死んでしまつてゐるのか喪心の時あればしばしの記憶失ふ

今日は雲が多い。昨日のような風はないけれども、やはり寒い。
わが腹に怠惰の蟲がうずくまる今日できることは明日でもできる
街中は凸凹だらけに難渋す老い病む足にはたやすくあらず

朝から風が猛烈に強い。マンションの周囲はまたいちだんと風がふきつけて、風下になると進みがたいほどの風圧だ。朝方、路上の水たまりには氷が張っていた。
薄氷はりたるあさき水たまりぱりんばりりん靴にふみ破る
鴨どちは小さき声に鳴きかはし川のながれを右す左す
隊列をときに乱して泳ぎくるカルガモ小さき声に鳴きつつ

朝は雨だった。少しずつ雲ははれたものの、寒い。そして夕刻また雨。
なぜだろう。今日は男の子ばかりの保育園児の一団とすれ違う。
男の子ばかりの保育園児がすぎてゆく橋上を不穏なり幼児の一団
挨拶も声にしがたく不穏なり男の子ばかりのこの不自然さ
妖精はあそこににもここにもゐるものを曇天なれば木々に隠れり
