2021年10月3日(日)

朝8時、小田急線厚木駅を出発、本厚木で急行に乗り換え、小田原へ。小田原からは東海道線普通列車で熱海を経て三島へ。クレマチスの丘とかへ。ベルナール・ビュフェ美術館、ヴァンジ彫刻庭園美術館、クレマチスガーデン等を半日堪能。三島駅前のホテルに一泊。すべて妻の旅の計画に拠る。

  陽のひかり透けたるもあり濃きもある楠の古木を真下に仰ぐ

  楠の葉の色枯れて一葉、またひと葉散り落ちてゆく愛鷹山麓

  廻るやうに伸びたる枝が交差する太幹ま直ぐなりこの複雑怪木

2021年10月2日(土)

昨日一日雨を降らし、風を荒した台風は北へ。朝から爽やかだが、昼過ぎには28℃を越え暑い。

  昨夜(ゆふべ)過ぎゆく野分(のわき)が残す雨滴ありあけぼの杉の葉むら下垂(しただ)

  灰色の大小の蝶輪舞する河辺はそろそろ草枯れはじむ

(  ほうたるを今年は見ずに秋や来る

2021年10月1日(金)

台風16号の影響で朝から雨。北東からの風も強い。致し方なく家ごもり状態である。今日もユーチューブで藤圭子三昧。

  藤圭子は笑顔が似合ふこよひまたグレーの絨毯にワインをこぼす

  自在なるこゑのふるへに声の伸びこぶしふるはせ心うるほす

色エンピツ絵。

  往古(いにしへ)のエジプトの男の貌を画くどこか自分に似てゐるやうな

2021年9月30日(木)

海老名図書館へ行くが目当ての辞書がない。稲刈りが終っている田がある。

  水や風のごとくに人生流れゆき老いたれば地獄の底が現る

ユーチューブで藤圭子を聴く。

  藤圭子のこゑのうるほひそのこぶしこころふるはす涙こぼるる

  命火はいまだも消えぬさくら木にもみぢ葉赤きけふ九月尽

2021年9月29日(水)

日陰は涼しいが、日差しは暑い。半袖シャツに相模大野へ。メガネの調整をしてもらった。

  小田急線線路に沿うてすすき原しろがね色の揺らぎまぶしき

  すすき穂に昼の日差しの酷なれば碧空へ発つさすらひ坊主

色エンピツに画をかく。

  古代ペルーの神の横貌の青き色祈りのすがたを画帖に写す

2021年9月28日(火)

爽やかな朝だったが、午前10時には強い日差しに暑い。

  朝日差し窓にまばゆきこの日々を嘉するか野の鳥がとび交ふ

  納豆に焚きたて(めし)の湯気たてば妻はねばねばね引きてぞ喰らふ

  納豆のねばねばはいのちのねばねばと糸引納豆いく度も練る

2021年9月27日(月)

夏と秋の端境期ということか。サルスベリはまだ花を着けているが、風は秋の涼しさ。

  さるすべりの花色褪せてこぼれ落つ大き自然のたゆたひ移る

  鉛色の厚き曇りのすきまより覗く空ありたましひの色

  川土堤(どて)を遠ざかり来てなほ響くこころ揺すぶる荒き水音