今日は神武天皇祭。幕末にはじまった宮中祭祀であり、奈良の橿原の畝傍山東北陵でも祭事が行われる。近代日本の「創られた伝統」の一つであるが、「神武さん」と親しまれてもいた。わが家の近くにも日露戦争の際に建立された石碑を祀る珍しい神武社がある。
神武社のさくらの花も散り果てて枝はみどりの葉に麗しき
葉脈のうるはしき槐の葉にあたる朝のひかりに思慮深くなる

今日は神武天皇祭。幕末にはじまった宮中祭祀であり、奈良の橿原の畝傍山東北陵でも祭事が行われる。近代日本の「創られた伝統」の一つであるが、「神武さん」と親しまれてもいた。わが家の近くにも日露戦争の際に建立された石碑を祀る珍しい神武社がある。
神武社のさくらの花も散り果てて枝はみどりの葉に麗しき
葉脈のうるはしき槐の葉にあたる朝のひかりに思慮深くなる
昨夜、嬉しい電話があった。高校時代来の友人が4月1日付けで奈良国立博物館の館長になった。それまでは東京国立博物館の副館長であった。めでたい。
この時間、この時の間も古都寧楽の寺社のさくらは花散らしをり
巷には白きつつじも咲きそろひ悪事を企むにはよき季節なり
世間では今日から新しい年度だそうです。
中庭のメタセコイアの芽のみどりかすむが如く四月来るなり
現実があまりに莫迦げてゐるゆゑに万愚節楽しくもなし
朝湯を楽しみ、湯村温泉周辺を散策、甲府駅界隈に遊ぶ。
朝の湯にしばし游べばしづかなりひよどりが来てさくらに遊ぶ
瓶にさすあしびの花のこぼれたり宿の床の間花こぼれをり
甲府城の染井吉野が格別の花盛りであった。
甲府城花の陣なり時の鐘
窓を開ければ虫くるカフェ楽しきか卓上を七星瓢虫歩む
てんたう虫を指に這はせて指先へわが指を経て天を目指せ
一泊なれど往路、復路のそれぞれに思ひあり往路に喜び多き
今日は甲府の湯村温泉の柳家に泊る。心臓ペースメーカー移植後はじめての旅行である。たった1泊ではあるが、不安でもあり、ものすごく楽しみでもある。妻が車の運転、娘が同行。相模から甲州への道中は桜がほぼ満開、散りはじめていた。いやあ、それにしてもこの国に染井吉野の木の多いこと、多いこと。さらに甲府盆地は桃の花盛り。
三昧に咲くさくら花散りはじめことしの花も死者が育む
甲斐の国は桃花ざかり花の木に拠ればむすめの頬もあかるむ
常よりも妻もくつろぐ如くなり湯帷子より肌へこぼるる
今日から妻も春休みである。であるが早速お出掛けだ。
春眠に安気にあれど心晴れずことしのさくら散りはじめたり
畔に咲くなづなの花をとびめぐる紋白蝶やがてここ離りゆく
今日は雨が降ったり、止んだりしている。
葉室麟『天翔ける』読了。松平春嶽を描いた小説である。春嶽は、1890年6月2日、東京小石川関口台町邸で逝去。享年63。辞世が残されている。
なき数によしやいるとも天翔り御代を守らむ皇国のため
定番といえば定番の辞世だが、安政の大獄で処刑された橋本佐内や暗殺された横井小楠を思えば真率なものが感じられる。
この雨はノスタルジックレインかも心寂しきこの春の雨
満開のさくらの下にほうとゐる今を昔とただほうとゐ