2025年3月21日(金)

朝はやはり寒い、昼には十八度、春の陽気になるというが。

『文豪怪談傑作選 泉鏡花集|黒壁』(東雅夫選)をやっとこさで読み終えた。鏡花の小説の文章は、実にレトリカルで勉強になるし、声に出して読むのに最適だ。「高桟敷」「浅茅生」「幻往来」「紫障子」「尼ケ崎」「菊あわせ」「甲乙」「黒壁」「遺稿」「幼い日の記憶」の十編。どれもおもしろい、怖い。とりわけ蝮を殺す「尼ヶ崎」、あとはつぎつぎに出る「女怪幻想」が凄い。蝮の描写とか女性の怪を堪能してほしい。

  春や来るにいまだ寒き日つづきたり庭の椿に花(さは)に咲く

  葉に隠れ一輪一輪咲きにけり赤き椿はものいふごとし

  どことなく色艶感ず椿の花そろそろ春も近しと思ふ

『論語』季氏一四 邦君の妻、君これを称して夫人と曰ふ。夫人自ら称して小童と曰ふ。邦人これを称して君夫人と曰ふ。異邦に称して寡小君と曰ふ。異邦の人これを称して亦君夫人と曰ふ。

国君の妻は国君がよばれるときには夫人。夫人が自分でいうときには小童。その国の人が、国内でよぶときには君夫人。外国に向かっていうときには寡小君。外国の人がいうときにはやはり君夫人という。

  呼び方の乱れを正す孔子なりたとへば邦の夫人の言ひ方

『古事記歌謡』蓮田善明訳 九四 オホハツセワカタケルノ命
また、
引田(ひけた)の (わか)(くる)栖原(すばら)        そなたの在所の栗林 若木が多いというけれど
若くへに (ゐ)(ね)てましもの    その若い日にそなたをば
老いにけるかも         (め)したいものを 老いはてて

  若き日に恋せしものを老いたれば婚したきものを老いはてたまふ

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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