夜明け、妙な明るさがあった。晴れはしない。主に曇りだが、時々雨粒が落ちて来る。
夜明け頃の奇妙な明るさ。常ならぬ白茶けたる街窓にひろがる
けふもまた日は昇り来ず。天上の天宇受売よ楽びをせむか
谷神は死せず、是を玄牝と謂う。『老子』上篇6(金谷治・講談社学術文庫)
谷神は万物生成の根源なり冥々と湧く尽くることなく
*
「人はただ、無常の身に迫りぬることを心にひしと懸けて、つかのまも忘るまじきなり。」(『徒然草』第49段)
いやあ、たいせつな言葉だ。

夜明け、妙な明るさがあった。晴れはしない。主に曇りだが、時々雨粒が落ちて来る。
夜明け頃の奇妙な明るさ。常ならぬ白茶けたる街窓にひろがる
けふもまた日は昇り来ず。天上の天宇受売よ楽びをせむか
谷神は死せず、是を玄牝と謂う。『老子』上篇6(金谷治・講談社学術文庫)
谷神は万物生成の根源なり冥々と湧く尽くることなく
*
「人はただ、無常の身に迫りぬることを心にひしと懸けて、つかのまも忘るまじきなり。」(『徒然草』第49段)
いやあ、たいせつな言葉だ。

秋のよき日である。あかるさが戻って来た。妻の車でいつものトマト屋、パン屋、生協、地域農協を買物ツアー。けっこうな買物の量でありました。
余裕なきわが体力を尽くしたりパン屋、農協、トマト屋廻る
エレヴェーターの箱に棲まふか黒蜘蛛の王のごときが天井を這ふ
『徒然草』第41段
人、木石にあらねば、兼好もものに感ずる和歌をつくりき
住めばまた憂き世なりけり他所ながら思ひしままの山里もがな(兼好法師・百人一首)
第43段・44段
文ひろげ清げなる男、童子つれ笛吹く男 謎をもつをのこを好むか兼好法師

今日は土曜日だけれど、妻は仕事。休みの日に妻がいないとなんだかつまらない。昨日までと違って朝から割合いい日なのだが。
枝それぞれに風に任せてこきざみに揺るるあけぼの杉の秋の葉
けやき樹がもつとも早く黄葉する衰ふる木も黄の色あざやぐ
『徒然草』第39段 法然門の鎮西流か。
「疑ひながらも、念仏すれば往生す」法然のたまふこれまた尊し
第40段
栗をのみ食ひて米類を食はざりし異様の女を兼好記す

曇り空。時折雨が落ちる。たいしたことはないが、傘を持ち歩く必要はある。
山肌に朝雲うごき険峻のみどりもやがて雲隠れたり
妙な夢を見た。
質感のうるほふ素肌女体みゆねつとりとした夜の夢なり
『徒然草』第31段
雪降れど雪には触れぬひがひがしき兼好をむかしからかふ女人

日の出は5時40分くらいだが、太陽は出ない静かな朝明けであった。一日中16℃だか17℃。寒いくらいだ。
しつとりと藍に明けゆくさがみの空。窓を音なくふる細き雨
この雨は全き秋を率き連れてけやきの黄葉散りはじめたり
呉明益『自転車泥棒』をようやくのことで読み終えた。『歩道橋の魔術師』と少し違って、台湾の戦中・戦後史を背負い込んだような長篇、ハードな内容に圧倒された。台湾は日本の植民地であり、自転車の国であった。私も台湾製の洒落た小型自転車に乗っていたことがある。盗まれた自転車をめぐり絡み合う多くの人たちの個人史がたどられる。そして幾多の感動。これもいい本だ。ところどころに挿入された精密な自転車のイラストも呉明益のものだという。
読み終へてなんだか辛き人生を背負い込んだか息ふかく吐く

曇り空。温度もあまり上がらない。しかし生ゴミの袋にはまだコバエが生息していた。
ゴミ袋の中に生き延ぶる蟲どもよこばへ残党死ねよ死ね死ね
寒けれどなほ生き延ぶるコバヘたちそのしぶとさは愛すべきかも
『徒然草』第22段・第23段
おとろへたる末の世なれば古き世を慕はしといふ兼好法師は
夜の御殿に「かいともし、疾うよ」など言ふいみじかりけり

朝から気持ちの良い日だ。それでも少し暑くなる。ひさしぶりに日の出を見た。
ひさびさの空のあかるさ。さねさしさがむを照らす天つ日出づる
天の日のこのあかるさをまぶしみて眼をつむりをり秋の陽の色
『徒然草』第21段
風こそがみやび人にはあはれなり。西行、秋の初風うたふ
おしなべて物を思はぬ人にさへ心を付くる秋の初風 西行 宮河歌合・西行法師歌集
