朝から雲一つない。だから寒い。
橙色が紺青を制し朝空の明けてゆくなり師走十九日
弦月の宙天高く残るのみ他になにもなし極月の朝
昨夜の雨のなごりの道のたまり水けさは寒さに初氷なり

朝から雲一つない。だから寒い。
橙色が紺青を制し朝空の明けてゆくなり師走十九日
弦月の宙天高く残るのみ他になにもなし極月の朝
昨夜の雨のなごりの道のたまり水けさは寒さに初氷なり

昨夜の雨は大山頂上付近、背後の丹沢山系に雪を降らせたようだ。どうりで寒い。
大山の頂上あたりを隠す雲やがて晴るれば雪の色あり
朝方は黒き曇りが雨ふらす南北に明るき空ひらけしに
一日の指脂に穢れし眼鏡なりしつこき汚れ拭かむとしをり

寒い曇り空の一日だ。
見あぐれば少しく暈けて西へ赴く飛行機雲あり疾く過ぎ去りぬ
妻よりクリスマスプレゼントに色鉛筆の60色セットをもらった。これは嬉しい。
60色の色使ひ分け葉のいのち写したるとき繪がうごかぬか
緑にもこんなにたくさんの色がある木ごと草ごと山々の色

寒いけれどよく晴れている。
駅に近き小公園に山茶花の赤き花、白き花異界のごとし
昨夜の上條氏からの電話で松坂弘さん、元木恵子さんの死を知る。ショックである。
老齢のうたびとの死をかなしみて追憶のいくつか友と語らふ
突然すずめが飛びだす。
地を這ふ低きに飛びだすすずめごの一羽におどろく二羽に魂消る

横須賀短歌会の例会に出てきた。出席13名。少なかったけれどもなかなかおもしろい会であった。
目に沁みてかへでもみぢの落ち葉なり横須賀は遠し歳暮るる日々
JR相模線、青き電車のかろやかに社家、門沢橋、倉見を過ぎつ
恐竜の雲のうたあり、柿のうた、そしてかくり世のうたありてたぬし
わが前を黒猫よぎる冬寒し山茶花白き花散るところ

吉良邸討ち入りから320年、今宵は忠臣蔵の日だ。来年のNHKの大河ドラマは松本潤の徳川家康だと言うが、わたしは松本潤も徳川家康も嫌いだ。そろそろ忠臣蔵を俳優を厳選して再演してもよろしかろうと思っている。
赤穂浪士の本懐遂げて雪のうへ吉良の首の血を下垂らす
春菊の苦みうまきをお浸しに昼餉にいただくこの苦さこそ
ハガキ歌仙に悩みて付くる縄文土偶の踊る良夜と
ベランダから小田急線が見える。
夕焼けの相模川橋梁を渡り来る小田急線の響き近づく

朝方は雨だったが、昼前には上がった。しかし風がある。
ひと夜さの荒れたる雨の上がりたり雲に隠りし大山も霽る
白鷺の群れてたたずむ川岸の水清くして冬の河なり
青山文平『底惚れ』を読む。新境地というところでしょうか、女の力を描く一編。よかった。「底惚れ」もなんと素敵なことばでしょう。
おのがために生くるにあらずおれを刺しゆくへくらます女を待てり
