2022年10月3日(月)

穏やかな日であるが、それなりに暑くはなっている。

けさの空はこつてりとしたペースト状、全天覆ふがごとき白雲

地球にはすでに宇宙人が侵入してロシア政府中枢部の人となり替はる

秋日和ハガキを一通投函に

揺れたるは丈高きひまはりの花にして風止むまでのしばし時の間

2022年10月2日(日)

気持ちのよい朝だ。秋のひかりにあふれている。

秋空を相模線ゆく軽やかに

朝の陽の桜の木よりこぼれくる十月二日まだ秋の口

コンバインにさきがけて鷺が舞ひ降りる稲穂かがやく金色(こんじき)の田に

鷺こそが阿弥陀如来のごとくなれ金色の野にしづかに降る

2022年10月1日(土)

今日から10月だ。早いのか。今年もあと3か月。

このあまき香りを木犀と覚るまでしばし記憶の(くう)にたゆたふ

マンションの前の物流倉庫が消滅する以前は、敷地を取り囲んで金木犀の木が植えられていた。九月半ばくらいになるといやというほど木犀の花が香ったものだった。それがちょうど鈴木正博が死んだときと重なって、木犀の花が香りだすと奴のことを思いだすのが常だったのだが、今はこの近所に一本も木犀はない。

めぐりより木犀の花の香り消え死者訪れることも稀なり

木犀の花をさがしてふり返る見えぬところよりたゆたふ花香

2022年9月29日(木)

涼しい。昼間はそれなりに温度があがっているが、それでも秋の日である。

二リットル入りのペットボトル三本に浄水そそぎ一日はじまる

米澤穂信『Iの悲劇』を読む。地方都市の過疎地を再生するためのIターンプロジェクトが組まれる。市役所の担当三人の奇妙な取り組み、そして移住者に襲い掛かるトラブル。プロジェクトは最終的に失敗するのだが、それは仕組まれたものであった。このミステリいいよ。「そして、誰もいなくなってしまった。」米澤穂信、最後のこの言葉、書きたかったのだろうな。おもしろかった。

いつのまにか万願寺邦和になつてゐるなにゆゑかくもトラブルつづき

課長と観山遊香があやしいと思ひしことありかなり後半

秋の日の午後には鳶のこゑのして『Iの悲劇』一冊読み終はりたり

2022年9月27日(火)

朝は涼しい。昼には暑い。大和で中西くんに会う。借りていた「楡」を返す。彼との会話は楽しい。

けさも地に落つる欅の葉を拾ふ黄の色あざやぐこの一枚を

けやきの葉拾ひ蒐めて鉛筆絵にとどめて弔ふ葉にあるいのち

褐色にもみぢする箇処指にさはるけやきもみぢの葉のたましひに