2021年9月11日(土)

 ニューヨークの同時多発テロ事件から20年。あの日は定時制での仕事を終えて、珍しく飲まずに帰宅した。旅客機が高層ビルに突入するその瞬間をテレビで見ることになった。言葉を呑んだことを今でも覚えている。

  六十五年ただ茫洋と生きてきて忘れがたきことのひとつかこれも

週に三度の掃除機による清掃。

  三部屋を念入りに掃除機かけて後の疲弊深きは老いの証しか

  絨毯は湿気を帯びて掃除機に吸へば重たし老いにはしんど

  秋虫や昼にも鳴けば雨降り来

2021年9月10日(金)

真夏の空がもどってきた。午後2時、29℃。

  田の畔にひとり仰げる青空に侵入してくる夏の雲たち

今日は私が夕食の当番だ。

  包丁をにぎれば時の間シェフになるまづはじやがいも皮むく芽とる

  人参をきざみながらもこの後の段取り案ずたのしきろかも

2021年9月9日(木)

今日は重陽、菊の日。朝から雨。心臓ペースメーカー点検のため海老名総合病院へ。雨はやだねぇ。

  重陽を祝ふみやびの失せたるか湯豆腐に酒すこし嗜む

  菊人形の不気味さに怯え後ずさる()(わらは)はをりき菊棚の前

2021年9月7日(火)

朝から晴天、青空だ。やがて雲が出てくるが、青天も覗く。

百日紅の花はまだ咲きつづけている。

  さるすべりの花は百日咲くといふくれなゐの花いのちの色なり

  くれなゐの花こぼれ散る芝のうへ幼き子らがふんばる四股踏む

  四股踏んで笑顔の子らのたくましき二の腕ぷるぷるやはらかき肌

2021年9月6日(月)

雨はあがっているが、青空はない。えびな脳神経外科へ。頭部のCTを撮って診察。血腫はほぼ無くなった。こちらはもう大丈夫だと思うが、脳梗塞の可能性がある。10日後、エコーの検査。またやっかいなことが。まあなんでもある年なのだ。なるようになるさ。夕方、青空が広がった。

  田村掘りに水あふれたり田をうるほす水なればわが心も潤ふ

  けふもまたさねさし曇天十九度あたらしき秋のシャツ着て街へ

  歩みゆく道に違ひはなけれども心惑はすおびへ湧きくる

  百日紅の赤花落ちて秋の雨

2021年9月5日(日)

雨でなく、青空も覗く日である。妻の故郷から届いたブドウを娘に届けに行く。ついでに3人で蕎麦屋へ。この蕎麦がうまかった。

  蕎麦を喰ふ店の木に鳴くあぶら蟬

昨夜は悪夢に醒める。ある高校で講師を務めた。話し終えた後、感動したという生徒が、うちの高校には温泉があるといい、風呂に入ってさっきの議論の続きをと誘われた。温泉に入りながらの議論は楽しかったが、風呂から出てくるとロッカーに入れたはずの着替えがない。パジャマのようなものを着て探し回る。ある女の子と約束していたことを思いだして外へ出るとそこは駅の構内のような場所に繋がっていた。女の子はいない。見回すとここは例の駅ではないか。そこで目が醒めた。

  悪夢より醒めてしばしの恐怖ありうしみつどきを妻は鼾けり

  夏蒲団に入りて身じろぐ音の絶へじきに(やす)()す妻ねむる息