朝、風があるから、ちょっと涼しい。
なにもかにもがになりて余臭すらだに風に吹かるる
なにもかにもが失はれたる後にしてわが軀すべてが風に散らばる
無常といふことすら言へずなにもかも散らばり果てて形をなさず
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『孟子』尽心章句上196 孟子曰く、「君子に三楽有り。而うして天下に王たるは、
与り存せず。父母倶に存し、無きは、一の楽しみなり。仰いで天にぢず、して人にぢざるは、二の楽しみなり。天下の英才を得て、之を教育するは、三の楽しみなり。君子に三楽有り。而うして天下に王たるは、与り存せず」
君子には三楽あれど天下に王たるはそこに入らず
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相馬御風編注『良寛和尚歌集』
皐月すぐるまでほとゝぎすの鳴かざりければ
あひつれて旅かしつらむほとゝぎす合歓のちるまで声のせざるは
【語義】「あひつれて」は「連れ立って」。〇「合歓のちるまで」は「ねむの花の散る頃まで」の意。合歓木はまた「ねぶりの木」ともいう。高さ二、三丈、細く小さい葉対生す。夜になるとその葉が両々相合いて眠るが如く見える。朝になるとまた開いてしゃんとする。仲夏には梢毎に一寸ほどの長さの細い糸を集めたような淡紅の花を開く。
【評言】この歌ではいつまでも時鳥の声のしないのは皆連れ立って旅にでも出かけたのであろうかといぶかってる心持が、「合歓のちるまで」という清新な実感味の鋭い表現によっていかに生かされているかに、興味の中心点がある。「声のせざるは」という結句の力強さにも心ひかれる。