コロナのせいか喉のいがいがが酷く、夜眠れなかった。早くに窓を開ける。たしかに涼しさはあるが湿気がやけに多い。今日はリハビリの日。
ひむがしへ黒き鵜三羽翔けぬける速度感あればいづこへむかふ
朝明けの雨模様なれば雲重く垂りてかしましく雨ふりやまず
卓子の表面に湿気べたつきて手のうちがはの濡れたるごとし
どの木より蟬鳴きはじむ。十方四方に耳すませども蟬の声止む

コロナのせいか喉のいがいがが酷く、夜眠れなかった。早くに窓を開ける。たしかに涼しさはあるが湿気がやけに多い。今日はリハビリの日。
ひむがしへ黒き鵜三羽翔けぬける速度感あればいづこへむかふ
朝明けの雨模様なれば雲重く垂りてかしましく雨ふりやまず
卓子の表面に湿気べたつきて手のうちがはの濡れたるごとし
どの木より蟬鳴きはじむ。十方四方に耳すませども蟬の声止む

暑い日がつづく。雨もふる。すぐ上がってしまうのだが。
四天王に踏みつけられし邪鬼の顔それぞれ違ふ目の大きさも
持国天に踏まれし邪鬼の表情のすこし笑へるごとしとおもふ
踏まれし邪鬼に多聞天の靴おもたからむ多聞天しつかり着衣整ふ

今日も暑いのだ。
朝の日に影ながながとあけぼの杉生気さかんなれば風に揺れをり
をかしをば人生ひとつの目的としあれこれ言はん兼好頼りに
をかし、あはれをこの軀にまとひ刻々と退院以後の日々を過ごさむ

暑い。総合病院でMRIを受ける。
田中貴子の本で印象に残った『和漢朗詠集』。中の和歌一首と漢詩。藤原義孝の作である。義孝は藤原伊尹の子、行成の父。容姿端麗で道心の深い貴公子であった。
秋はなほ夕まぐれこそただならぬ荻の上風荻の下露 229
朝に紅顔あつて世路に誇れども/
暮に白骨となつて郊原に朽ちぬ 794
さてさて藤原義孝の歌なるか下の句の対句好ましきもの
麗景殿女御早くに死にたるを惜しみつつ藤原義孝寂しむ
離婚病というものがある。
恋ひわびてよなよなまどふわがたまはなかなか身にもかへらざりけり 藤原能宣
思ひあまりいでにし魂のあるならむ夜ぶかく見えば魂結びせよ 『伊勢物語』110段
たましひのわが軀を離れ遊ぶときこのたましひのはなやぐものを

暑いことに変わりない。田中貴子『いちにち、古典 〈とき〉をめぐる日本文学誌』読みつつ、
朝に生れて暮に死す。われらみなひとしなみに死は避けやうもなし
彌彌丸の悪鬼に遭ひて死にするに満済准后あはてたりけり
腐れ屍あちこちにある中世の京都をおもふ妖しきものを

今日も朝から暑い。春杜くんのお宮参り、赤坂の日枝神社だそうで妻は早くにでていった。
持国天に踏みつけられし邪鬼の顔どこかに喜びの表情うかぶ
高き搭、興福寺五重塔を仰ぎみるわれら小さき人間ならむ
汗の香をたたふる木綿のTシャツを着てゆくは地蔵の盆近き夜

今日も暑い。雨もない。
リハビリの師にしたがひてスクワット十五回わが軀よいつよみがへる
ことばのままに足を上下に腰をあげ訪問介護にぶざまをさらす
蟬のこゑこの頃聴かずと話しすればたちまちどこからか油蟬鳴く
