26年前の3月20日未明、今泉重子さんが自裁した。半年前にクモ膜下出血のため亡くなった恋人の後を追った。重子さん27歳。若い死であった。重子さんもその婚約者もわたしの親しい歌友であった。重子は「かさね」と読む。そのお父さんの命名である。芭蕉の『奥の細道』に同行した河合曽良の「重とは八重撫子の名なるべし」を踏まえた愛嬢への命名であった。それにちなんで今日を「なでしこ忌」とする。
生きてあらば五十路のきみと茶を喫すほのぼのとした春もあるべし
木蘭の花咲く枝を仰ぎをりああ若き日のままにきみは笑ふ

26年前の3月20日未明、今泉重子さんが自裁した。半年前にクモ膜下出血のため亡くなった恋人の後を追った。重子さん27歳。若い死であった。重子さんもその婚約者もわたしの親しい歌友であった。重子は「かさね」と読む。そのお父さんの命名である。芭蕉の『奥の細道』に同行した河合曽良の「重とは八重撫子の名なるべし」を踏まえた愛嬢への命名であった。それにちなんで今日を「なでしこ忌」とする。
生きてあらば五十路のきみと茶を喫すほのぼのとした春もあるべし
木蘭の花咲く枝を仰ぎをりああ若き日のままにきみは笑ふ

昨夜、むすこが来た。いやいや痛飲、調子にのって飲みすぎた。調子がもどらぬ。
モクレンの厚手の花の白き色まとふてみたしそのはなびらを
昨日の寒さに変はりあたたかし木蓮は花芽を脱ぎ棄てて咲く

曇りからはじまり午後には雨。どんよりとして冬の寒さにもどっている。息子が帰ってくるので気合を入れて買い物してきた。
いきなりの妻の嚔の三連発朝から妻の圧高めなり
木蓮の白き数個の花濡れてきよらなり傘を小雨が濡らす

昨夜11時36分の福島を震源とする地震には驚いた。寝たばかりだったが跳び起きた。このあたりでは震度4だった。横揺れが長くつづいて、東北大震災の揺れを思いだしていた。あのときは震度5弱であったのだが、昨日の揺れも激しかった。地震は嫌だ。嫌でたまらない。
揺さぶられまた揺さぶられ跳び起きてまた揺さぶられ息吐く間なし
脱けだしまもない妻のふとんなりたたまうとしてふとんに埋まる
春昼や木蓮白き花立てて

ここのところ春めいた日がつづいている、というかもう春なのだ。マンションの駐車場のモクレンも一つだけだが花を着けた。昨日、厚木市内の数本のモクレンにすでに多くの花を発見したが、海老名側は遅れている。
ひとつだけ花を着けたる木蓮の木のもとに立ち老いの息吐く
海老名田んぼを歩く。
畔ゆけば天人唐草の花の咲くむらさき小さきはなびらひらく
天人唐草は、オオイヌノフグリの別名である。

昨日はどうも運の悪い一日だったようだ。
薯藷汁の饐ゆるを喰らひくちびるにもの言ひがたき痺れありけり
川を渡った住宅街の路地にことしはじめてのモクレンの花を見つけた。
いち早く木蓮の花咲ふ木のぶさいくなれどいのちの花なり
鴨どりはいまだ発たずに数十羽落ちつきのなく川さわぎ合ふ

すっかり春だ。どうも眠りの質が悪い。
鴨どりの落ちつきのなくさわぎをり春到来は望郷を呼ぶか
老いの軀によろけてあゆむ路傍には愛らし小さな酢漿草の花
