2021年6月11日(金)

今日も似たような天気だ。暑い。

砂原浩太朗『高瀬庄左衛門御留書』読了。この時代小説が思いの外よかった。悲運にみまわられながらも登場人物の心根がなんとも明るいのだ。

  枯れてゆくわがいのちかも夏色のメタセコイヤの木を仰ぐなり

  あたらしき夏のいのちをこの老いに少しくたまへみどりの葉叢

  田の中の道にザリガニ滅びたり

2021年6月10日(木)

またまた今日も暑い。

6日の「日曜美術館」で観たガザ地区の画家たちの絵のことをおもっている。

  パレスチナ・ガザ地区の画家の絵をおもふいのちの絵いのちの色いのちのかたち

梅しごとをしながら見ていた。ガザと比べてこの国の平穏に暗然とするものの、この平和はやはり大切なのだ。

  口腔に氷砂糖を泳がせてガザの戦禍に茫然たりき

2021年6月9日(水)

今日も暑い。新型コロナウィルス接種会場へ89歳の母に付き添う。

  黒日傘にマスクの女ぞろぞろと列なして歩く枇杷の木に近く

  枇杷の木の下にはいくつもの実が落ちて堆くなる腐れ実あまた

  これの世の汚れをよそに山ぎはを旋回する鷺を遠く目に追ふ

  日傘の上に尺取虫が落ちてくる

2021年6月8日(火)

晴天、そして30℃。暑い。

  苔の上に夏つばき白き花落す今朝のひかりの届くところに

子どもたちの使っていた部屋に、海外みやげのスノー・ボールが残っている。

  巴里の町のスノー・ボールを揺らしたりエッフェル搭はふぶきの中に

  シャンゼリゼ通りは小雪のふりはじめジュリエット・グレコ「パリの空の下」

2021年6月7日(月)

今日もどんよりとしている。脳外科の診察の日である。まだ完全に脳内の血液はなくなっていない。3カ月後にまた再診だ。

  早苗(さなへ)()の水に滑空降下する鷺つかのまを水面(みなも)に映ず

  高所より巧みにこの地に降下する鷺の流麗目放ちがたし

  診察の結果にこころ折れたるか鷺のすがたに圧倒されたり

  鷺けふはたしかに白し田に降る

2021年6月6日(日)

今日は雨だ。時折止む。

  トラクター雨の田んぼを折り返す

  ひよわなる田の苗しづかに雨が打つ

  曇天に柘榴の花の朱著くあヽただ雨に打たれてゐたき

  梅仕事せしゆゑならむどことなく芳熟の香のただよふてゐる

2021年6月5日(土)

どんよりしているが、雨ではない。

  今日の雲古のかたちも臭ひもまあよからう朝の便壺のぞきこみたり

アメリカザリガニを狙って水路を探る家族がいる。

  田を囲む水のながれに潜みをるアメリカザリガニ深きに退(すさ)

  叫声は少年に起こる。小女子は平気で蝲蛄を手づかみにする

  手づかみにざりがに誇る処女なり