2023年11月12日(日)

朝は雨、やがて止むものの寒い。冷えている。そして空は雲で覆われている。

  うす暗き今日の朝なり日は出でず冷たき夜明け冬近みかも

  シルエット・ロマンスの大橋純子死すといふ訃報あり朝の新聞ひらく

  捕鯨船日新丸の引退を新聞に知る「編集手帳」に

『老子』が終ったので『論語』を。まあ真反対の書物だが、それもおもしろい。けっこう長いのでいつまでかかるか。

『論語』学而第一 有名過ぎる学而第一である。孔子先生曰くである。学びて時にこれを習ふが説ばしい。遠方より朋来たる、楽しい。そして人を(うら)みずが君子である。まあ、そうか。

  復習し、遠くから旧き友来たる。人にかまはず生きるべしや

『徒然草』191段 夜がいい。「よろづのものきら、飾り、色ふしも、夜のみこそめでたけれ。」

192段「神・仏にも、人まうでぬ日、夜参りたる、よし。」

  夜がうつくしい、神社にも寺にも夜に参るべし兼好云ひき

2023年11月11日(土)

寒い。このあいだまで夏日だった。この変化はなんだ。今日は1111、1の4つならびの日であ
である。

  『老子』読むわれは無為自然と思ひたし(ちまた)のくさぐさに捉へられても

  無為自然のかく難しき。老齢になれどもなまぐさしわれの周囲(めぐり)

『老子』下篇81「知る者は博からず、博き者は知らず。」「天の道は、利して而して害せず、聖人の道は、為して而して争わず。」
一応『老子』を読み終えたことになる。老子の道はむずかしい。

  老子翁になんどもなんども問ふたれどその難しさ言はんかたなく

『徒然草』189段「不定(ふぢょう)と心得ぬるのみ、まことにて違はず。」物は定めがたく、不確実であることのみが真実だ。 190段「あからさまに来て、泊りゐなどせんは、めづらしかりぬべし。」兼好法師は妻帯するなと言っている。

  不定(ふぢやう)なりしがまことなり兼好法師かく世に背く

  あからさまに来て泊りゐなどめづらしきよきかなよきかな

2023年11月10日(金)

さすがに冷たい。温度が低い。そして雨が降ってきた。リハビリだ。

  ひよどりは小さな鳥どもを制圧す。すずめ、四十雀この頃見掛けず

  ひよどりのむくつけき姿。すずめ子も四十雀もこの鳥を嫌がる

『親密な手紙』(岩波新書)

  大江健三郎の最後のエッセイに学びたるひよどりを憎む少年なりき

『老子』下篇80 「小国寡民」、これは一つのユートピア世界である。

  小国寡民を理想にかかげ老子翁この道を進む自然(じねん)無為に

『徒然草』188段 久々に長い章段である。一事を成し遂げるには、「他の事の破るるもいたむべからず、人の嘲りをも恥づべからず。

2023年11月9日(木)

今日から妻は福島へ。母は三日間デイケアに。むすこがきている。
昨日のことだが、

  国立がんセンター中央の威容に愕くその高層に

  築地には日比谷からタクシー。なつかしき江戸の町を過ぎつつ

  午前五時いまだ暗きに出かけたる妻のすがたも闇の中なる

  スーツケースを引きつつ駅へまつくらな空のもとゆく妻にしあらむ

『老子』下篇79「天道は親無し、常に善人に与す。」(天の道―自然のはこびかた―にはえこひいきはない。いつでも善人の見方だ。)

  善人に与するといふ老子の言なるほどとおもふ『老子』読みつつ

『徒然草』187段「大方の振舞・心づかひも、愚かにして慎めるは、得の本なり。」

  愚かにして慎めるがよしといふ兼好、善人に与するといふ老子といづれ

2023年11月8日(水)立冬

築地の国立ガンセンターに行ってきた。行きは東京メトロ千代田線直通の準急に乗って座っていたからいいけれど、帰りは代々木上原から立ちっぱなし、混雑していた。ガンセンターの診察に時間がかかって通勤時間に出っくわしてしまった。

  三日月に宵の明星、高く浮かぶ暁闇(げうあん)の空十一月八日

  まだ寒き通勤準急杖つけば優先席にしたり顔して

  まつくらなる海老名の町になれしたしむ三十年ほど住みたるがゆゑ

しかし、病院でほんとうに長く待たされた。愕くほどだ。帰宅してから、疲労でなにもできない。

2023年11月7日(火)

タクシーを使って海老名総合病院へ。紹介状を受けとる。疲れた。

  空中がうす紫に明けてゆく雲多きけさ異常なる色

  空見ればうす紫色に雲塊の染まればまぼろしの国のやうなり

  久々に杖に拠りつつ歩みけり総合病院を紹介状を手に

  北方に大きな虹の架かるみゆやうやく雨の上がりたるかも

『老子』下篇78「天下水より柔弱なるは莫し。」

『徒然草』185段 城陸奥守安盛のエピソード「道を知らざらん人、かばかり恐れなんや。」 186段 乗馬の秘訣

  馬ごとにこはきものなり吉田といふもの秘蔵のことあり

2023年11月6日(月)

今日も暑い。

  公孫樹の葉あかるくなれば校庭も明るしサッカー小僧ら走る

  公孫樹並木をゆくとき臭ふ銀杏を翁と媼がかまはず拾ふ

  銀杏の葉色づく並木を妻と歩むふたり手をとり歩みゆくなり

『老子』下篇「(ここ)を以て聖人は、(な)すも(しか)(たの)まず、功成るも而も(お)らず。其れ(けん)(あら)わすを欲せず。」(聖人は、大きな仕事をしても、それに頼ることはせず、りっぱな成果があがっても、その栄光に居すわったりはしない。そもそも、自分のすぐれていることを人前であらわすことを好まないのだ。)

『徒然草』184段 松下禅尼は「ただ人にはあらざりける」

  相模守時頼の母倹約を本とする聖人に似てただ人にあらず