2026年6月1日(月)

今日も晴れ、晴れ、晴れ。

明治期のレンガ造りの記念的建造物

  炎天を奈良監獄を訪れしされど門前に排除されし

予約が必要らしい

  壁の奥、煉瓦造りの奈良監獄入りがたければ諦めがたし

『孟子』告子章句下161 任人(じんひと)屋盧子(をくろし)に問ふ有り。曰く、「礼と食を(いづ)れか重き」と。曰く、「礼重し」と。曰く、「礼を以て食すれば則ち飢ゑて死し、礼を以てせずして食すれば、食を得。必ず礼を以てせんか。親迎(しんげい)すれば則ち妻を得ず、親迎せざれば則ち妻を得。必ず親迎せんか」と。屋盧子対ふること能はず。明日(めいじつ)(すう)(ゆ)き、以て孟子に告ぐ。

  食と礼、妻と親どうしたらよいかわからざる屋盧子は問ひを孟子に預く

   *

『梁塵秘抄』植木朝子編訳

(かうべ)に遊ぶは(かしら)(じらみ) (おなじ)(くぼ)をぞ(き)めて食ふ 櫛の歯より天降る 麻笥(をごけ)の蓋にて命終はる
                           (四句神歌・雑・四一〇)

【現代語訳】頭で遊ぶのは頭虱。項のくぼみを決まっていつも食うのさ。でも結局は、髪を梳く櫛の歯の間から天降り、麻笥の蓋でご臨終だよ。

【評】櫛で梳き落とされ、爪でつぶされる虱を歌った一首。「天降る」「命終はる」といった大げさな表現で、害虫の虱に寄り添いながら、明るく滑稽な歌謡に仕立て上げている。「麻笥」は「をけ」とも言い、績に麻(細く裂いた麻を縒り合わせて長くつないだもの(を入れる器。檜の薄板を曲げて円筒形にしたもの。文永五年(一二六八)成立の語源辞書『名語記』に「シツノメカ持セルオコケ(賤の女が持せる麻小笥)」(巻八・二〇オ)とあって、庶民の女性の持ち物であったことがわかる。

虱が文芸作品に登場することはきわめて稀であり、江戸時代に至ってようやく用例が見出される程度である。俳諧の世界では、「夏衣いまだ虱を取り尽くさず」(『野ざらし紀行』)、「蚤虱馬の尿する枕もと」(『おくのほそ道』)、「うつるとも花見虱ぞよしの山」(『七番日記』)のように、虱が旅情を漂わせたり、のどかな気分を表したりなど、風流なものとして捉えられることもあり、芭蕉の俳文『幻住庵記』では、世俗を離れて隠棲し、虱をひねって過ごす時間が閑居の風情をよく表すものとして表現されてもいる。やや現実離れしたこれらの例に対し、今様はあくまでも、虱を害虫とする認識に立ち、その駆除の様子を歌っている。当該今様は、虱を取り扱という点で、俳諧にはるかに先行するものとして注目されるが、さらに虱そのものに焦点を当て、俳諧以上に積極的な擬人化によって、軽妙な笑いの世界を作り上げているのである。

なお、害虫の一生を歌う点で、当該今様と類似した発想を持つ韓国の童謡に次のようなものがある。

ダニくん、ダニくん、どうやって暮らしているの。五月、六月の暑さの中で。牛の足にぶら下がって、振り落とされて、通りがかりの人に踏みつけらあれて、黒い血を吐いて死んじゃうのさ。
             ビクターファミリークラブ『時の旅人 栄 Ⅰ』曲目解説)

虫は人間とあまりに隔たった姿態を持っていることもあって、不気味さや恐怖の念をかきたてることもある。たとえば、能「土蜘蛛」においては、土蜘蛛の精が妖怪として現れ、千筋の糸を出して討手を苦しめるが、建長六年(一二五四)成立の説話集『古今著聞集』巻二〇には、人間に復讐をとげる虱が登場する。ある田舎人が都の宿屋で首に喰いついていた虱を柱の穴に押し込めて帰る。一年後に再び都にやってきた田舎人はまた同じ宿屋に泊り、虱のことを思い出して柱の穴をあけてみると、やせほそった虱がまだそこにいて生きていた。自分の腕に置いてみると、虱は喰いついて血を吸う。やがてその跡がむしょうにかゆくなり、腫れ上がり、やがておびただしい瘡となって田舎人は死んでしまった。虱が恨みを晴らしたということであるらしい。

しかし今様は、人間と調和し得ない害虫も「頭に遊ぶ」と表現し、激しい嫌悪や恐怖ではなく、 明るい笑いをもって捉えているのである。

偏屈房主人
もともと偏屈ではありましたが、年を取るにつれていっそう偏屈の度が増したようで、新聞をひらいては腹を立て、テレビニュースを観ては憮然とし、スマートフォンのネットニュースにあきれかえる。だからといって何をするでもなくひとりぶつぶつ言うだけなのですが、これではただの偏屈じじいではないか。このコロナ禍時代にすることはないかと考えていたところ、まあ高邁なことができるわけもない。私には短歌しかなかったことにいまさらながら気づき、日付をもった短歌を作ってはどうだろうかと思いつきました。しばらくは二週間に一度くらいのペースで公開していこうと思っています。お読みいただければ幸い。お笑いくださればまたいっそうの喜びです。 2021年きさらぎ吉日

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