3月22日(日)

晴れているが、家の中は寒い。   清澄で、艶やかで、細緻なり。神仙、天使的と三島由紀夫云ふ   最晩年の泉鏡花の幽霊譚あまり恐くはないが蠱惑的なり   * 『孟子』万章章句上124-3 曰く、「然らば則ち舜は偽りて喜べる...

3月21日(土)

朝から晴れて、温かくなるそうです。 「あれ、蜻蛉が」お米膝つき手を合す裏の山には風が通る   裏山の風一通り赤蜻蛉静(そつ)と動いて女の影……二人   *   泉鏡花の幽霊譚を読みたるに味はひ細やかに清らかなりき 『孟子...

3月20日(金)

朝から微雨、もう少しで曇り空になるらしい。 「出ただええ、幽霊だあ」、「おッさん、蛇、蝮?」、「そげいなもんじゃねえだア」 糸塚   散々に甚振(いたぶ)られ倒され無惨なる碑(いしぶみ)を雁字搦めに緊縛したり   嘴(ふ...

3月19日(木)

朝は雨がちだが昼頃には晴れ間があり、暖かかった。 はんけち   細やかなかやつり草に縁どられその片端に赤蜻蛉二つ あれあれ見たか/あれ見たか/二つ蜻蛉が草の葉に/かやつり草に宿をかり……   初路の死。あやまったとは思ひ...

3月18日(水)

晴れ。   辻野とは心中未遂にあらざれど初路同じ時に水に入りたり   二十(はたち)の日に死の縁(ふち)に辻野は堪(こら)へたるに女その夜千ヶ淵に沈む   身投げせし別嬪さんはいぢめられ死といふも同じ日なりき 『孟子』万...

3月17日(火)

雨ではないが寒い。 お米   妖艶なる三十路(みそぢ)の女と連れ添ふて燈籠寺へと参り候   雪国の冬にはあれど小春日和、石段に坐す。ああ提灯、いやどっこい   就中(なかんづく)、公孫樹は黄にて紅樹、青林。見渡す森は錦(...

3月16日(月)

朝は雨、やがて曇りから晴れてくるらしい。 小池真理子『月夜の森の梟』をよむ。良人であった藤田宜永への鎮魂の賦だ。夫婦で作家。三十七年の付き合いだったという。肺に腫瘍が見つかってから一年十カ月。そして死後。辛いとか悲しいと...